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2009年2月

2月28日の日本民話 カッパのわび証文

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月28日の日本民話

カッパのわび証文

カッパのわび証文
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、最上川(もがみがわ→山形県)のほとりに庄屋(しょうや)の家があり、一人のきれいな娘さんがいました。
 一人娘だったので、庄屋さんは目に入れてもいたくないほど可愛がっていたのですが、最近は何となく元気がなくなり、顔色も青ざめてきたのです。
 医者に見せても病気ではないというし、娘にどこか具合が悪いかときいても首を横に振るだけです。
 こまった庄屋さんは、町の巫女(みこ)に娘の事をみてもらいました。
 すると巫女は、
「これは、カッパに見こまれて術をかけられているのでしょう。えらい坊さまなら、道切り(みちきり)の呪文(じゅもん)でカッパをつかまえられるでしょう」
と、いうので、庄屋さんは村に飛んで帰り、古いお寺のえらい和尚(おしょう)さんに道切りの呪文を頼みました。
 和尚さんは、
「カッパが人間の女に心を寄せるなど、とんでもない事だ。こらしめてやりましょう」
と、さっそくカッパのいる川で道切りの呪文をとなえ始めると、川の水がみるみるへりはじめたのです。
 そして和尚さんは、大声でさけびました。
「庄屋の娘の術を解き、二度と人間に悪さをしてはならぬ。明日の朝までに約束する証文(しょうもん)を持ってこないときは、川の水をからしてしまうぞ!」
 すると川の底から、苦しそうな声が聞こえてきました。
「悪かった。明日の朝まで待ってくれ」
 その日からカッパにかけられた娘の術がとけて、元気な美しい娘にもどりました。
 次の朝、和尚さんが山門に出てみると、一巻のカッパのわび証文がおいてあったそうです。
 今も高畠町糠野目(たかはたちょうぬかのめ)のある寺には、このカッパのわび証文が残されているという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → バカヤローの日
きょうの誕生花 → みすみそう(ゆきわりそう)
きょうの誕生日 → 1978年 菊川怜 (タレント)

きょうの新作昔話 → まこもが池のオシドリ
きょうの日本昔話 → クラゲのおつかい
きょうの世界昔話 → トラになった王さま
きょうの日本民話 → カッパのわび証文
きょうのイソップ童話 → 足をけがしたふりをするロバとオオカミ
きょうの江戸小話 → おれじゃない

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2月27日の日本民話 カッパと伝次の約束

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月27日の日本民話

カッパと伝次の約束

カッパと伝次の約束
熊本県の民話熊本県情報

 むかしむかし、ある村に、一匹のカッパがすんでいました。
 このカッパは力が強くて、大変なすもう好きです。
 おまけにイタズラも大好きだったので、村の人たちは手をやいていました。
 ある時、お百姓(ひゃくしょう)の伝次(でんじ)が仕事をおえて、川辺でよごれたウマを洗っていました。
 すると川の中からカッパがでてきて、ウマのしりこ玉をとろうとしたのです。
 村一番の力持ちである伝次は、
「何を悪さするか。ひねりつぶしてやるぞ!」
と、いうと、カッパは逃げようともせずに、
「ふん! 伝次よ、お前は村一番の力持ちというが、おいらには勝てねえ。いっちょう勝負だ」
と、身がまえました。
「なにを、なまいきな。かかってこい!」
 こうして、伝次とカッパのとっくみあいが始まりました。
 するとそのとき、カッパの頭のお皿に入っている水がこぼれおちたのです。
 水は、カッパの力のみなもとです。
 こうなっては、カッパは力がでません。
 たちまちねじふせられて、ウマ小屋の柱にしばりつけられてしまいました。
「日干しにしてやる。そこにずっとおれ」
 伝次はいいすてると、家の中へ入ってしまいました。
 しばらくすると伝次のおかみさんがウマに水をやるため、おけに水をいれて持ってきました。
 するとカッパは、おかみさんをからかったのです。
「このブサイク女。鼻ペチャ女」
 おかみさんは怒って、おけの水をカッパの頭の上からザブッとかぶせました。
「ウッヒヒヒ。ありがとよ」
 頭のお皿に水がたまって元気をとりもどしたカッパは、なわを引きちぎって川へ逃げていきました。
 それからしばらくたった、ある夜のことです。
 伝次が畑の中の道を歩いてとなり村から帰ってくると、あのカッパが畑でイモほりをしているのが月明かりに見えました。
「こらっ! イモをぬすむとはなにごとか! お前はまだ悪さをしておるのか!」
 伝次が大声でどなると、カッパは、
「すもうをとるべえ」
と、いって、かかってきました。
 伝次はまた、カッパとすもうをとることになりましたが、今度も勝負はあっけなくついてしまいました。
 カッパが伝次のおなかの下へ頭をおしつけてきたとき、うっかり頭のお皿の水をこぼしてしまったのです。
「どうだ。もうぜったいに悪さはしないと約束するか。しなければ、今度は本当に日干しにしてくれるぞ」
「約束する」
「それは本当か? お前は、平気でうそをつくからな」
「カッパは、うそはつかぬ」
「よし、なら証文(しょうもん)を書け」
と、伝次はカッパに証文を書かせました。
 紙ではやぶれてしまうので、二つの石に証文をきざませて、おたがいに一個ずつ持つことにしました。
 その石には、
《この石がくさるまで、人間に悪さはしません》
と、きざまれていました。
 その後、カッパは約束を守って、村の人たちにイタズラはしなくなりました。
 けれども、ウマにはときどきイタズラをするので、村の人たちはこまっていたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 新撰組の日
きょうの誕生花 → サキシフラガ(くもまぐさ)
きょうの誕生日 → 1969年 富田靖子 (俳優)

きょうの新作昔話 → 大アワビの怒り
きょうの日本昔話 → 旅は道連れ
きょうの世界昔話 → わすれな草
きょうの日本民話 → カッパと伝次の約束
きょうのイソップ童話 → ライオンの皮を着たロバとキツネ
きょうの江戸小話 → ふとん

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2月26日の日本民話 おたつ女郎

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2月26日の日本民話

おたつ女郎

おたつ女郎
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、神島(かみじま)におたつ女郎(じょろう)と呼ばれる、美しいお姫さまが流れついて来ました。
 漁夫たちは、おどろいて、
「あなたのような美しいお姫さまが、どうしてこんな島に流れて来られたのじゃ?」
と、聞きました。
 すると、
「私はおたつ女郎という姫で、遠い国から流れて来たのです」
と、いうだけで、その遠い国がどこの国ともいわないのです。
 みんなが不思議に思っていると、ある日、お姫さまが、
「じつは、この神島とは神さまが住まわれている島だと思ってやって来たのです。金でつくった丈夫な舟に乗り、大波小波を乗り越えてやって来たのです。私はみんなに知られるのがいやで、金の舟は神島の近くの海辺にうめてしまいました」
と、いいました。
 それからというもの、漁夫たちはお姫さまの美しい顔を見ようと、毎日のようにお姫さまのところへたずねて行きました。
 お姫さまは見られるのがいやで、あちらこちらと姿をかくしますが、小さな島なので、どこにかくれてもすぐに見つかってしまいます。
 お姫さまが神島の岩屋(いわや)の中にかくれていますと、夜中ごろに庄屋(しょうや)がやって来て、
「私の家が空いていますから、ぜひ来て下さい」
と、いいました。
 そこでお姫さまは、庄屋の家に泊めてもらうことになりました。
 ある日、お姫さまがカガミを立ててお化粧(けしょう)をしていると、一人の若者が自分のカガミでしきりにお姫さまをてらしているのです。
 お姫さまは、
「どうして、私をてらすのです?」
と、聞くと、若者は、
「お姫さまが、とても美しいからです」
と、答えました。
 するとお姫さまは怒って、
「私のような者をてらしてもらっては、おてんとうさまに申しわけありません。どうか私をてらさないでください」
と、いいました。
 若者はそれでも、
「お姫さまは、とっても美しいかたです。おてんとうさまも、きっとそう思っています」
と、いうと、お姫さまはまた怒って、庄屋の井戸の中へカガミを投げこんでしまいました。
 それ以来、庄屋の井戸はもちろんのこと、島中の井戸の水は赤サビ色になってしまったということです。
 お姫さまが持って来たと伝えられる、掛け軸と守り刀が神島の波切不動(なみきりふどう)さんにまつられてあり、毎年、大晦日(おおみそか)の夜中にだけ、戸を少しだけ開けて見せてくれるそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 咸臨丸の日
きょうの誕生花 → スノードロップ
きょうの誕生日 → 1956年 桑田佳祐 (ミュージシャン)

きょうの新作昔話 → 大平長者
きょうの日本昔話 → ひっぱりあいず
きょうの世界昔話 → ソバとゆうだち
きょうの日本民話 → おたつ女郎
きょうのイソップ童話 → 旅に出たディオゲネス
きょうの江戸小話 → 七の字

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2月25日の日本民話 よっぱらったスズメ

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2月25日の日本民話

よっぱらったスズメ

よっぱらったスズメ
長崎県の民話長崎県情報

 むかしむかし、あるところに、お父さんと息子がいました。
 ある日の事、お父さんは息子に言いました。
「となりの国ヘスズメを持っていけば高く売れるそうだが、一度にたくさんのスズメをとる方法はないものか?」
 すると息子は、
「そんなことはわけもない。酒のカスとツバキの葉っぱがあればだいじょうぶだよ」
と、言って、酒のカスを買いにいき、ツバキの葉っぱをかごにいっぱいつんできました。
 それからスズメのきそうなところに葉っぱを並べて、その上に、少しずつ酒のカスをつけておきました。
「こうしておけば、スズメなんかすぐにつかまえられるよ」
 二人は木のかげにかくれて、スズメが来るのを待っていました。
 すると、チュンチュンチュンと、スズメたちが集まってきて、酒のカスを食べはじめました。
 ところがしばらくして、スズメたちは酒のカスによっぱらってしまい、ツバキの葉っぱの上へコロリと横になったまま、動かなくなりました。
「なるほど、息子はたいしたものだ」
 お父さんが感心していると、日であったまったツバキの葉っぱが、クルリンとまがって、寝ているスズメをすっぽりと包みこんでしまったのです。
「いまのうちだ!」
 息子は、ほうきで葉っぱをはきよせると、俵(たわら)の中に入れました。
「さあ、これを売りに行けばいい」
 お父さんはさっそく、スズメの入った俵を舟につみ、となりの国へ売りにいきました。
「さあさあ、よく太ったおいしいスズメだよ、買った買った」
 お父さんの声を聞いて、大勢の人が集まってきました。
「まさか、死んでいるスズメじゃないだろうな」
「とんでもない。ほれこの通り、ゴソゴソ動いていますよ」
「本当だ。それなら売ってくれ」
「はいはい。みんなきちんと並んでください」
 これほどスズメを買う人があるとは、お父さんも知りませんでした。
(全部売ったら、どのくらいのお金になるだろうか)
と、思うだけでうれしくなってきます。
 ところが俵の口を開けたとたん、スズメがいっせいにとび出して、あっというまに空へとんでいきました。
 よっぱらって寝ていたスズメは、すっかり目がさめてしまったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 夕刊紙の日
きょうの誕生花 → カランコエ
きょうの誕生日 → 1972年 有野晋哉 (芸人)

きょうの新作昔話 → さかな売りとキツネ
きょうの日本昔話 → カニにまけたネコ
きょうの世界昔話 → やまのおかしら
きょうの日本民話 → よっぱらったスズメ
きょうのイソップ童話 → 家がらくらべをするキツネとサル
きょうの江戸小話 → まんじゅうこわい

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2月24日の日本民話 爺婆かぼちゃ

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2月24日の日本民話

爺婆かぼちゃ

爺婆かぼちゃ
三重県の民話三重県情報

♪ 朗読再生

 むかしむかし、ある村にうつくしい娘が一人で住んでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが欲しいなあ」
と、いつも思っていました。
 ある日の事、娘がカボチャ畑に立っていると、裏山からガラガラドスン! と、一匹のが落ちてきました。
 鬼は頭や腰を強く打ったので、
「痛い、痛い、痛いよー」
と、泣いていましたが、村人たちは怖くて、だれも鬼のそばへ寄りません。
 でも、娘だけが赤い帯(おび)をビリビリとさいて、痛いところに巻いてあげたのです。
 それから家へ連れていき、鬼にごちそうをたくさん食べさせてあげました。
 すると鬼は、
「これはうまい、うまい」
と、腹いっぱい食べてから、
「お前はなかなか親切なよい娘じゃ。このこづちをお前にやるから、これでかぼちゃをたたいてみるがよい」
と、いったのです。
「ありがとう」
 娘は鬼にお礼をいうと、急いでかぼちゃ畑へ行って、鬼のいったように一番大きなかぼちゃをそっとたたくと、
 ボコン!
と、音がしてかぼちゃが二つに割れて、なんと中からおじいさんとおばあさんがニコニコ笑いながら出てきたのです。
 そして、
「すまないが、わしらをお前の家においてくれんかのう?」
と、いいました。
 もちろん、娘は大喜びです。
 それからは、おじいさんとおばあさんと三人仲よく暮したという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 月光仮面の日
きょうの誕生花 → クロッカス
きょうの誕生日 → 1967年 コージー冨田 (タレント)

きょうの新作昔話 → 長者の森
きょうの日本昔話 → よっぱらいのばけものたいじ
きょうの世界昔話 → 橋の上の幸福
きょうの日本民話 → 爺婆かぼちゃ
きょうのイソップ童話 → よっぱらいとおかみさん
きょうの江戸小話 → 小男のねがい

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2月23日の日本民話 黒ギツネの霊カ

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2月23日の日本民話

黒ギツネの霊カ

黒ギツネの霊カ
北海道の民話北海道情報

 むかしむかし、ある漁村では、何年間もニシンがまったくとれないことがありました。
 人びとの生活は苦しくなるばかりで、殿さまも心を痛めていました。
 そんなとき、大昌院(だいしょういん)という、大変な霊力(れいりょく)をもった山伏(やまぶし)がこの近くにきているという話が殿さまの耳の入りました。
 殿さまはさっそく大昌院に、豊漁(ほうりょう)の祈りをたのみました。
「わかりました。では本日より豊漁をねがって、百日間の行(ぎょう)をはじめましょう」
 大昌院は雪の中、百日間のきびしい行をはじめました。
 そして満願(まんがん→日数を限って神仏に祈願し、その日数が満ちること)の前の日の、九十九日目の夜のことです。
 大昌院の耳に、ふしぎな声がきこえてきたのです。
「大昌院、お前にたのみたいことがあって、お前が行を始めた日の夜からわれもこのお堂の床下にこもっておるのじゃ。お前は、われの願いをきいてくれるか?」
 大昌院はビックリして、ただだまっていましたが、相手はそれを了解(りょうかい)してくれたのだと受け取り、話しを続けました。
「われは、この地の者ではない。京の都のある稲荷(いなり)につかえる黒毛のキツネである。ここの殿さまのところへ、はるばる都から津軽(つがる)の海をわたってお嫁入りをしてきた初姫(はつひめ)さまをお守りするよう命じられて、たくさんのキツネたちと一緒にこの地へやってきた。初姫さまは不幸にも、こちらへきてまもなくなくなられたので、ほかのキツネたちは都へ帰っていったが、われは北海道のキツネと恋仲になり、夫婦となって子どもまでもうけたので、この地にとどまることにしたのじゃ。ところが六年前、殿さまが猟(りょう)にでたとき、われは道のわきにかくれて行列(ぎょうれつ)を見ていた。そこを殿さまに見つけられてしまったのじゃ。殿さまは、『めずらしい黒毛のキツネなるぞ。逃がすな。はよ、うちとれ』と、命じたので、われは命をうばわれた。それからいまなお、たましいはうかばれずにおるのじゃ。もし社(やしろ)をつくってわれの霊(れい)をまつってくれたら、うらみを忘れ、黒ギツネのこのわれが、長くこの地を守ってやろう。むろん、ニシンの不漁もおわらせてやろう」
 長い話は、そこでとだえました。
 大昌院はこの話を、さっそく殿さまに語りました。
 殿さまは六年前のことをおぼえていて、さっそく黒ギツネのために社をつくり、その名を玄狐稲荷神社(げんこいなりじんじゃ)とつけたのです。
 すると翌年から、またニシンの豊漁がつづいたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 税理士の日
きょうの誕生花 → じんちょうげ
きょうの誕生日 → 1956年 野口五郎 (歌手)

きょうの新作昔話 → 踊る三毛猫
きょうの日本昔話 → ひろったさいふ
きょうの世界昔話 → かしこいグレーテル
きょうの日本民話 → 黒ギツネの霊カ
きょうのイソップ童話 → 山賊とクワの木
きょうの江戸小話 → 負け惜しみ

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2月22日の日本民話 イノシシを退治した侍

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2月22日の日本民話

イノシシを退治した侍

イノシシを退治した侍
静岡県の民話静岡県情報

 むかしむかし、伊豆(いず→静岡県の東部、伊豆半島および東京都伊豆諸島)の小さな村の竹やぶに、(さむらい)のお墓(はか)がありました。
 お墓のある竹やぶは、おいしいタケノコがとれるところですが、この季節(きせつ)になるといつもイノシシたちが先にやってきて、タケノコを食いあらしてしまうのです。
 楽しみにしていたタケノコをほとんどイノシシに食われてしまったので、お寺のお坊さんはくやしくてたまりません。
 そこでつい、侍のお墓にむかって、
「聞くところによると、むかしあんたは、いっぺんに何人もの悪人をやっつけたので、その勇敢(ゆうかん)な行いでほうびをもらったというが、死んでしまったらイノシシさえ追い払うことが出来んのか? わしの寺はまずしいので、ここのタケノコを売ってなんとかくらしておるのに、このざまではどうにもならん。そなえもののお茶も、もう出せぬ。今度こんなことがあったら、このお墓をこわしてしまうぞ!」
 坊さんは、墓をたたきながらいいました。
 その言葉をお墓の中の侍が聞いていたのか、次の日の朝、お坊さんが新しいタケノコを探しに竹やぶへいってみると、あの侍のお墓の前に、大きなイノシシが死んでいたのです。
 それからというもの、イノシシはこの竹やぶに近づかなくなりました。
 そして次の年の春からは、おいしいタケノコがたくさんとれるようになったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 猫の日
きょうの誕生花 → アフェランドラ
きょうの誕生日 → 1948年 都はるみ (歌手)

きょうの新作昔話 → 一枚のうろこ
きょうの日本昔話 → つめときばをとられたネコ
きょうの世界昔話 → おばあさんと山のヤギ
きょうの日本民話 → イノシシを退治した侍
きょうのイソップ童話 → トビとヘビ
きょうの江戸小話 → 外からエヘンエヘン

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2月21日の日本民話 おかしな手紙

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2月21日の日本民話

おかしな手紙

おかしな手紙
福岡県の民話福岡県情報

 むかしむかし、山道でタヌキとキツネが遊んでいると、むこうから風呂敷づつみをかかえた男の子がやってきました。
 それを見つけたタヌキが言いました。
「おいキツネどん、あの風呂敷づつみの中には、何が入っていると思う?」
「そうだな。おもちか、おはぎだと思う」
「どうだい。あれをいただいては」
「よしきた。そんなら、ちょっとおどかしてみるか」
 キツネは頭の上に葉っぱをのせると、クルリと飛んで、たちまち大入道に化けました。
「やい、そこの子ども! その風呂敷づつみをおいていけ! いうことをきかないと、お前を食べてしまうぞ!」
 いきなり飛び出してきた大入道を見て、男の子はビックリ。
 風呂敷づつみを投げ捨てて、ころがるように山道をおりていきました。
「あははは。だらしのない子どもだ」
 キツネはもとの姿にもどると、その風呂敷づつみをひらきました。
 中には、まっ白のおもちがどっさりと入っています。
 それを見たタヌキが言いました。
「こりゃ、うまそうだ。二人で食べよう」
 でもキツネは、タヌキにおもちをやるのがおしくなりました。
 うまいぐあいに、おもちの横に手紙があります。
「まてまて、何やら書いてあるぞ」
 キツネは、手紙を取りあげました。
「そうか、なるほど、なるほど」
「キツネどん、なんて書いてあるんだ?」
「自分で読んでみろよ」
 キツネは、タヌキに手紙を渡しましたが、タヌキは字が読めません。
「キツネどん、すまんが読んでくれないか」
「いいとも」
 キツネは自分も字が読めないくせに、すました顔で読むふりをしました。
「このおもちはタヌキが一つ食べ、残りは全部キツネが食べること」
「ええっ、そんなことが書いてあるのか?」
「気の毒だが、あきらめてくれ」
 キツネはガッカリしているタヌキにおもちを一つ渡すと、残り全部を一人で食べてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 日刊新聞創刊の日
きょうの誕生花 → ひがんざくら
きょうの誕生日 → 1964年 モモコ (漫才師)

きょうの新作昔話 → 山童(やまわらべ)
きょうの日本昔話 → 死に神のつかい
きょうの世界昔話 → ウサギどん キツネどん
きょうの日本民話 → おかしな手紙
きょうのイソップ童話 → カラスと白鳥
きょうの江戸小話 → ネズミおろし

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2月20日の日本民話 おぶさりてえ

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2月20日の日本民話

おぶさりてえ

おぶさりてえ
岐阜県の民話岐阜県情報

 むかしむかし、八幡(やはた)さまの奥の院にある高い高い杉の木のてっぺんに、バケモノがすんでいました。
 そのバケモノは、毎日ひぐれになると、
「おぶさりてえー、おぶさりてえー」
と、さけぴ、木の下をとおる人がいると、木をスルスルとおりてきて、
「おぶさりてえー、おぶさりてえー」
と、追いかけてくるのです。
 こんなわけで、夜になるとだれ一人、八幡さまのあたりをとおる者はいませんでした。
 さて、ある晩の事。
 (さむらい)が三人あつまって茶のみ話をしていると、一人の侍がいいだしました。
「どうじゃ。われら三人で碁(ご)をうって、負けたものはバケモノをおぶってくる事にしようではないか」
「うん、それはおもしろかろう」
「さんせい」
 そこで三人は、さっそく碁をうちはじめました。
 ところがなんと、負けたのは三人の中で一番こわがりの侍でした。
 弱虫の侍は、しょんぼりと自分の家にかえって、嫁さんに別れのあいさつをしました。
「これで、お前の顔も見おさめじゃ。わしはもう、生きてはかえれんかもしれん。お前も体に気をつけてくらせよ」
 そう言って、八幡さまへでかけていきました。
 最初の鳥居(とりい)をくぐり、次に二の鳥居(とりい)、三の鳥居と進んでいきましたが、体がブルブルとふるえてしまい、今にも気絶してしまいそうです。
 それをどうにかがまんして、なんとか八幡さまの拝殿(はいでん)までたどりつきました。
 ガラン、ガラン、ガラン
 鈴のひもをひくと、
「どうぞ八幡さま。ぶじで約束がはたせますように。バケモノをおぶってかえれますように」
と、両手をあわせながら、いっしんにおがみました。
 さて、おそろしいのはこれからで、奥の院までいかなくてはなりません。
 弱虫の侍は、もう死んだ気で走り出しました。
 奥の院の杉の木の下までくると、高い杉の木のてっぺんを見あげて、思いっきりわめきました。
「やいバケモノ! おぶさりてえなら、さあ、このおれにおぶされい!」
 すると上の暗やみから、ガリガリッと、つめで木の幹(みき)をひっかきながら、何かが降りてきました。
 そして侍の背中に、ズッシリとおぶさったのです。
 その重たい事といったら、いまにも腰がおれてしまいそうです。
 でも弱虫の侍は、死にものぐるいでふらつく足をふんばり、なんとか家までたどり着きました。
「そら、ここへ降りろ」
 玄関(げんかん)の土間(どま)に降ろそうとしましたが、バケモノはしっかりとしがみついて、降りようとはしません。
 弱虫の侍はしかたなく、茶の間にあがって、
「さあ、ここへ降りろ」
と、いいましたが、ここでも降りてくれません。
 それで今度は奥の座敷に入って、床の間のほうへ背中をむけると、
「そんなら、お前。ここへ降りろ」
と、いうと、今度はあっさりと降りてくれました。
 さあ、降ろしたのはいいのですが、弱虫の侍はそのバケモノを見る勇気もなく、そのままとなりの部屋へかけこんで、ふとんを頭からかぶって一晩中、ブルブルとふるえていました。
 さて、あくる朝です。
 嫁さんが座敷のそうじにいって、おどろいた声をあげました。
「お前さん、お前さん。大変だよ」
 朝になっても、まだふとんの中でブルブルとふるえていた弱虫の侍は、嫁さんに引っ張られるように座敷に連れて行かれました。
「お前さん、何をふるえながら目をつぶっているんだい。はやくこれを見てごらん」
 嫁さんにいわれて、弱虫の侍がおそるおそる目を開けてみると、昨日おぶってきたバケモノはおらず、そのかわりに大判小判の入った大きなツボが、座敷の真ん中においてあったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 歌舞伎の日
きょうの誕生花 → おうばい
きょうの誕生日 → 1950年 志村けん (タレント)

きょうの新作昔話 → 絵から抜け出した子馬
きょうの日本昔話 → 火事の知らせ方
きょうの世界昔話 → リスとマツの木
きょうの日本民話 → おぶさりてえ
きょうのイソップ童話 → クジャクとカラス
きょうの江戸小話 → 話半分

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2月19日の日本民話 トラのあぶら

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月19日の日本民話

トラのあぶら

トラのあぶら
高知県の民話高知県情報

 むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)に是市(これいち)という、とんちの上手な若者がいました。
 ある日の事、となりの村へ出かけた是市は、にわか雨にふられて、ずぶぬれになってしまいました。
 服がビショビショで、寒くてかないません。
「はやく着物をかわかさねば、かぜをひいてしまうわ」
 しばらくいくと一軒の家があって、いろりに火をたいています。
「ちょいと、ごめんよ」
 是市はその家に入り込んで、いろりの火にあたらせてもらったのですが、火が弱くて思うように着物がかわきません。
 そこで、
「おらの村では、固いタケを食べるが、このあたりでも食べるのかね?」
と、いろりばたのおじいさんに話しかけました。
「固いタケ? タケノコではなく、固いタケが食べられるじゃと!? そりゃあ初耳(はつみみ→はじめて聞いたこと)じゃ。ぜひとも食べ方を教えてくれ」
 おじいさんが、そう言うと、
「まずタケを輪切りにして、ナベに入れて、どんどん火をたいて、グラグラと煮込むのよ」
「よし。さっそくためしてみよう」
 おじいさんは大きなタケを切ってきて、いろりにナベをかけました。
「そんな弱い火じゃダメだ。わしも手伝ってやる」
 是市はいろりにまきをドンドン放り込んで、火を大きくしました。
 そのおかげで、たちまち着物がかわいてきました。
 それと、雨もあがってきました。
 おじいさんは、はやくタケが食べたくて、ウズウズしています。
「まだか。まだ食えんのか?」
「もう少しだ。ここでトラのあぶらを入れれば、すぐに食えるぞ。さあ、トラのあぶらを出してくれ」
 是市がいうと、おじいさんは不思議そうな顔で言いました。
「トラのあぶら? そんな物はないぞ」
「そりゃあ、残念な事じゃ。おらの村じゃあ、どこの家にも置いてあるんだが。困ったなあ。これがないと、竹は食えんからのう」
 是市はそういうと、さっさと帰っていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロレスの日
きょうの誕生花 → すみれ
きょうの誕生日 → 1966年 薬丸裕英 (歌手)

きょうの新作昔話 → 白ギツネの恩返し
きょうの日本昔話 → ふたをとらず
きょうの世界昔話 → 月の夜の訪問者
きょうの日本民話 → トラのあぶら
きょうのイソップ童話 → 壁とくぎ
きょうの江戸小話 → なべや

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2月18日の日本民話 炭やき長者

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月18日の日本民話

炭やき長者

炭やき長者
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、ある村に、大金持ちの長者(ちょうじゃ)が住んでいました。
 ところがこの長者はひどいけちんぼうで、人のためにお金を出したことがありません。
 そのくせただとわかると、何でももらっていきます。
 そして長者は夜になると、土蔵(どぞう→そうこ)の中で大判小判(おおばんこばん→お金)のつまったはこを開け、一枚一枚数えるのが大好きでした。
 ところがある日、いつものようにお金を数えていた長者が首をかしげました。
「おかしいぞ」
 一枚も使ったことがないのに、数がたりません。
 次の日になると、またお金がへっています。
「もしかして、ドロボウかもしれない」
 そこで長者は、土蔵を見はることにしました。
 ジッと待っていますが、だれもやってきません。
 ところが、ま夜中になったころ、土蔵の中からヒソヒソと話す声が聞こえてきます。
「おや? 土蔵にはだれもいないはずだが」
 長者は、土蔵の中をそっとのぞいてビックリ。
 お金のはこの中から、大判小判が次々と飛び出して、
「おら、もうこの家にいるのはいやだ。ここのだんなは、人にお金をめぐむということを知らない」
「そうだ、そうだ。ためるばかりで使うことをしない。こんな家、はやく逃げだしてしまおう」
と、話し合っているではありませんか。
 長者はあわてて、土蔵の中に飛び込みました。
「待て! お前たちはわしのものだ。どこへも行かさんぞ!」
 すると大判小判はいっせいに動きだし、ジャラジャラと外へ出ていきました。
 長者はあわてて追いかけましたが、大判小判はあっというまに姿を消したのです。
 さて、山のおくまでにげてきた大判小判は、
「逃げてきたのはいいが、どこへ落ち着こうか?」
と、立ち止まりました。
 すると、小判が言いました。
「この山に、炭やきの藤太(とうた)という男がいる。たいへんな働き者で、お金がなくてもこまった人のめんどうをよくみるという話だ」
「そういえばこの間も、いっしょうけんめい炭をやいてためたお金を、病気でねているおじいさんにそっくりあげたそうな」
と、大判も言いました。
「よし、きまった。みんなで藤太のところへ行こう」
 そんな事とは知らない藤太が、つぎの朝、起きてみるとどうでしょう。
 炭小屋の前に、大判小判が山のようにつみかさなっているではありませんか。
 藤太は大喜びで大判小判をひろい集めると、さっそく山をおりて、こまっている人たちみんなに分けてあげました。
 それからのこったお金で家をたて、お嫁さんをもらいました。
 気前のいい藤太は町で評判になり、藤太の売る炭が飛ぶように売れました。
 やがて藤太は村一番のお金持ちになり、みんなから炭やき長者とよばれるようになったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → エアーメールの日
きょうの誕生花 → たんぽぽ
きょうの誕生日 → 1961年 影山ヒロノブ (歌手)

きょうの新作昔話 → カワウソのいたずら
きょうの日本昔話 → ネコの大カボチャ
きょうの世界昔話 → 三人の軍医さん
きょうの日本民話 → 炭やき長者
きょうのイソップ童話 → 旅人とカラス
きょうの江戸小話 → 滝のぼり

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2月17日の日本民話 ウナギ釣り

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月17日の日本民話

ウナギ釣り

ウナギ釣り
兵庫県の民話兵庫県情報

 むかしむかし、川の中に腰まで入って、ウナギ釣りをしている人がいました。
 ミミズをつけた釣り針をさし込んで、ウナギのかかるのをジッと待っています。
 でも、三十分たっても一時間たっても、ウナギは釣れそうにありません。
 それを岸に立って、さっきからジッと見ていた人が、イライラして言いました。
「いっぺんあげてみたらどうだね。もしかしてエサがなくなっているかもしれないよ」
 おせっかいなその言葉に、
(ふん、なにを言いやがる。お前なんぞにウナギの釣り方がわかってたまるもんか)
と、ウナギ釣りをしている人は、心の中でそう言いましたが、でももしかすると、本当にミミズがなくなっているかもしれません。
 そこで思いきって、釣り針をあげてみました。
 しかしミミズは、ちゃんと釣り針についたままです。
「なんだ、まるでくってないじゃないか」
 ウナギ釣りをしている人ではなく、岸の上の人がガッカリして言いました。
(よけいなお世話だ。だまって見ていろ)
 ウナギ釣りをしている人はそう思って、少し腹を立てましたが、もう一度、釣り針を川の中にさしこみました。
 ところがいくら待っても、ウナギのかかったようすはありません。
 それでもジッとがまんして、ウナギのかかるのを待っていました。
 やがて岸の上の人が、がまんできずに言いました。
「お前さん、そんなにのんびりかまえていて、ウナギなんか釣れるもんかね。わたしゃさっきから見ているが、じれったいたらありゃしない。よくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 それを聞くと川の中の人は、腹を立てて岸の上に向かって大声で言いました。
「そっちこそなんだよ。釣れもしないのにいつまでも見ていて。じれったいたらありゃしない。よくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 そう言われて岸の上の人も、ハッと気がつきました。
 ウナギ釣りに気をとられていて、仕事にいくのをすっかり忘れていたのです。
 岸の上の人は大あわてで荷物をかつぎなおし、あわてて仕事に行ったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ツタンカーメン王墓発掘の日
きょうの誕生花 → しゅろちく
きょうの誕生日 → 1963年 マイケル・ジョーダン (バスケットボール)

きょうの新作昔話 → ぼっけもんの大蛇退治
きょうの日本昔話 → ハマグリ姫
きょうの世界昔話 → はたらくことをおぼえた人間
きょうの日本民話 → ウナギ釣り
きょうのイソップ童話 → ネズミの会議
きょうの江戸小話 → 水、おのぞみしだい

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2月16日の日本民話 丸岡城の人柱

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月16日の日本民話

丸岡城の人柱

丸岡城の人柱
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、丸岡城(まるおかじょう)が築城(ちくじょう→城を建てること)された時のお話です。
 どうしたことか、丸岡城は何度建てかけても、城がくずれてしまって建ちませんでした。
 お城を建てる責任者は、最後の方法として人柱(ひとばしら)を立てることを考えました。
 そして、人柱の希望者をつのりました。
 でも、自分から命を犠牲(ぎせい)にして、城の下に入る者などいるはずがありません。
 ですから希望者が見つかるまで、築城は中断することになりました。
 さてその頃、丸岡の城下町(じょうかまち)に、片目の女が息子と住んでいました。
 女は片目のうえ体も悪いので、とてもまずしい生活をしていました。
 その片日の女は、人柱のことを聞いて、
(どうせ自分は長生きできない。このまま自分が死んでしまったら、かわいい自分の息子はどうなってしまうのだろう? もし息子が幸せになるならば)
と、自分が人柱になってもよいと、奉行(ぶぎょう)に願いでました。
「私は人柱になります。そのかわりどうか、息子を武士(ぶし)に取り立ててください」
「うむ、約束しよう」
 片日の女は奉行との約束を信じて、人柱になりました。
 城は無事に完成しましたが、どういうわけか、息子は武士に取り立ててもらえませんでした。
 それからは夏になるたびに、お城の堀(ほり)の水面いっぱいにもがしげり、毎年一回は、もをからなければなりません。
 そしてその日はきまって、小雨がしとしとと降りだすのです。
「あら、いとし、片日の女の涙雨」
と、町の人々は母心をいとおしみました。
 また、お城には片目の蛇が住んでいたのですが、それは片日の女の怨霊(おんりょう)だといわれています。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 天気図記念日
きょうの誕生花 → ふきのとう
きょうの誕生日 → 1975年 相川七瀬 (歌手)

きょうの新作昔話 → 二月の桜
きょうの日本昔話 → もちのまと
きょうの世界昔話 → 赤い靴
きょうの日本民話 → 丸岡城の人柱
きょうのイソップ童話 → ライオンとヒツジ飼い
きょうの江戸小話 → 井戸ほり

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2月15日の日本民話 寝太郎物語

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月15日の日本民話

寝太郎物語

寝太郎物語
山口県の民話山口県情報

 むかしから、佐渡ヶ島(さどがしま)は金(きん)が取れることで有名でしたが、勝手に金を持ち出すこと、いえ、たとえひとにぎりの砂を持ち出すことも禁じられていました。
 さて、ある庄屋(しょうや)の息子に、寝太郎(ねたろう)と呼ばれる男がいました。
 この寝太郎は、名前のように、毎日毎日寝てばかりいるのです。
 ところがあるとき、この寝太郎が突然起き上がり、父親である庄屋に言いました。
「お父さん、千石船(せんごくぶね)を二そうつくってください」
「よしよし、さっそく船大工を呼び寄せよう」
 父親が千石船をつくってやると、今度は、
わらじを、千石船いっぱいに用意してください」
と、いいました。
 庄屋がその通りにしてやると、今度は、
「あの千石船にわらじを積みこんで、船乗りを七、八人やとってください」
と、いいました。
 父親がその通りにしてやると、寝太郎は喜んで船に乗り込み、行く先も告げずに出発しました。
 船は西へ西へと向かい、玄海(げんかい)の荒海(あらなみ)に出ると、まっすぐ日本海の大海原(おおうなばら)を進んで行きました。
 こうしてたどり着いたのは、佐渡ヶ島でした。
 港に船を着けると、寝太郎はさっそく島の人々を呼び集め、
「はき古しのわらじを、新しいのとかえてあげよう。しかもただじゃ。はき古しのわらじは、古いのほどええんじゃ」
と、言って、はき古したわらじと新しいわらじをとりかえました。
 はき古したわらじが、船いっぱいになると、
「さあ、用事はすんだ。村へかえろう」
と、船を出しました。
 はき古しのわらじを船いっぱいに積みこんで帰ってきた寝太郎は、今度は大きな桶(おけ)を父親にねだりました。
 父親はさっそく、桶職人をやとって桶をつくらせました。
 桶が出来上がると、寝太郎は桶に水をいっぱいはり、船乗りたちにその中でわらじを洗わせました。
 この仕事は何日も何日も続けられ、やっと全部のわらじを洗い終わると、こんどは桶の水を上の方からそっとくみ出させました。
 そうして水がだんだん減ってきて、桶の底が見えてきました。
 よく見ると、桶のそこには金色に光るものが見えます。
 手にすくってみると、それは金の砂でした。
「金じゃ。金じゃ。金の砂じゃ」
 船乗りたちの喜びの声は、すぐに村中に伝わりました。
 寝太郎は、ひとにぎりの砂も持ち出すことを禁じられていた佐渡の土を、どうやって持ち出そうかと、寝ながら考えていたのです。
 寝太郎はこの金を使って開作地を作り、かんがい水路を通して千町田という広い水田を作り、村人に分けあたえました。
 村人は大変感謝して、寝太郎を寝太郎大明神(ねたろうだいみょうじん)として、まつるようになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → お菓子の日
きょうの誕生花 → ひなぎく(デージー)
きょうの誕生日 → 1967年 堀ちえみ (歌手)

きょうの新作昔話 → 冬の竹の子
きょうの日本昔話 → ネズミのよめいり
きょうの世界昔話 → 魔法のボウシ
きょうの日本民話 → 寝太郎物語
きょうのイソップ童話 → 毛をかられるヒツジ
きょうの江戸小話 → 新しい

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2月14日の日本民話 お銀と小金物語

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月14日の日本民話

お銀と小金物語

お銀と小金物語
石川県の民話石川県情報

 むかしむかし、金沢(かなざわ)に、お銀(おぎん)と小金(こきん)という仲のよい姉妹がいました。
 でも、その姉妹は腹ちがいで、それぞれ産んでくれたお母さんがちがいます。
 お銀の母親はお銀が小さい頃に死んでしまい、小金の母親はお銀の父親と結婚してから、小金を生んだのです。
 だから母親は、お銀には冷たくあたります。
 お銀が不幸になっても、小金が幸せならいいと思っていました。
 ある日の事、お銀の父親が仕事で江戸(えど→東京都)にいくことになりました。
 母親はいいチャンスだと思い、お銀を山へつれていって殺してやろうと思ったのです。
 そうとは知らない、お銀も小金も、
「わあ、きれいなお花だこと」
と、いいながら、どんどんどんどん山奥へ入って行きました。
 母親はお銀に気づかれないように、小金だけをつれて家へ帰ってしまいました。
 お銀がふと気がつくと、小金も母親もみあたりません。
 お銀は涙声で、
「かあさま! 小金ちゃん!」
と、よびながら帰り道をさがしました。
 家では小金が、お銀のことを心配しています。
「お銀ちゃん、無事で帰ってきてね」
と、いのるような気持で待っていました。
 その日の夜遅く、泥だらけのお銀が帰ってきました。
 小金は、とびつかんばかりに喜び、
「よかったわ、よかったわ」
と、いいながら心の中で、
(ごめんね。こんなかあさまを許してやってね)
と、あやまるのでした。
 ところが、母親はくやしそうな顔で、
「おやまあ、ずいぶんと遅かったねえ」
と、いっただけで、また次の方法を考えていました。
 数日後のある日、母親はまたお銀を殺そうと、下男(げなん)に犀川(さいがわ)の岸辺に大きな穴をほらせました。
 そして、いやがるお銀をひっぱっていって、いきなり穴の中に突き落したのです。
「今度こそ、お前も終わりだよ!」
 母親はそう言うと、さっさと帰ってしまいました。
 この様子を見ていた小金は、その穴に近づいて、
「お銀ちゃん!」
と、よびました。
 すると、
「小金ちゃん助けて! 水が入ってくるの。どんどん深くなってくるの」
と、お銀の声がします。
 でも、子どもの小金にはどうすることもできません。
 しばらくして、お銀の声はまったく聞こえなくなってしまいました。
「お銀ちゃん! お銀ちゃん! かあさまを許してあげてね。わたしもお銀ちゃんのそばへいくから」
と、いうと、深い穴の中に小金も身を沈めてしまいました。
 今でも法年寺(ほうねんじ)には、二人のお墓があるという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → バレンタインデー
きょうの誕生花 → シネラリア
きょうの誕生日 → 1971年 酒井法子 (歌手)

きょうの新作昔話 → 犬のお使い
きょうの日本昔話 → よくわかる説教
きょうの世界昔話 → マメ子と魔物
きょうの日本民話 → お銀と小金物語
きょうのイソップ童話 → 金持ちと皮なめし屋
きょうの江戸小話 → さぞおりこうで

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2月13日の日本民話 ネコの置物を売る店

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月13日の日本民話

ネコの置物を売る店

ネコの置物を売る店
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸(えど→東京都)の浅草(あさくさ)に野菜売りの男がいました。
 貧乏なくらしでしたが、おかみさんと仲がよく、年おいた父親をとても大切にしています。
 ところが父親が病気になり、寝たきりになってしまったのです。
 男はおかみさんとかわるがわる看病(かんびょう)にあたり、父親の具合がいい時だけ野菜売りに出かけました。
 おかげでいよいよ貧乏になり、その日食べる米も買えなくなったのです。
 もちろん、父親を医者にみせるどころではありません。
「ほんとうに、どうしようかね」
 おかみさんが、ふかいため息をつきました。
「なんとかするから、かんべんしてくれ。おやじさんが心配で、仕事もおちおちやっていられないのだ」
 男はおかみさんにあやまると、家にいるネコを抱きあげました。
「見てのとおりの暮らしで、お前に食べさせるものさえなくなってしもうた。長い間一緒にくらしてきたお前に出ていけとは言わないけれど、このままじゃ、どうにもならん。よく考えて、お前の好きなようにしてくれ」
 それを聞いたおかみさんが、
「おまえさん。ネコにそんなこと言ったって、言葉がわかるわけじゃないの。かわいそうだけど、そのうちにわたしがどっかへすててくるよ」
と、言ったのですが、その次の日、ネコの姿が見えなくなりました。
 二、三日たってもネコの帰ってくる気配はありませんでしたが、それでもいそがしさにまぎれて、二人がネコの事をわすれていたら、ある日、父親がいいました。
「昼間のうちは、さっぱりネコの姿を見かけないようだが、どうしたのだ?」
 言われて男もおかみさんも、やっと気がつきました。
「そういえばネコのやつ、どこへ行ったのだろう?」
 男が言うと、おかみさんが言いました。
「うっかりしていたけど、じつは二、三日前家を出たまま、もどってきていないようなの」
 すると、父親が言いました。
「いいや、そんなことはない。ネコは毎晩、わしの所で眠っている。腰が痛いと思うと腰にのぼり、肩が痛いと思うと肩にのぼる。ありがたいことに、ネコがのぼると痛みがやわらいでよく眠れるのだ。悪いが、お前たちがさすってくれるより気持ちがいいくらいだ。それなのに昼間は家にいないとすると、どこでどうやって食べているのやら」
 それを聞いて、男とおかみさんもネコに悪いことを言ったと後悔(こうかい)しました。
「まさか、ネコに人の言葉がわかるとは思わなかった」
「ほんとにね。でも、わかったから家を出ていったのよ」
「今夜おやじさんのところへ来たら、ずっと家にいてくれるように頼んでもらおう」
「そうよ。いくら貧乏でもネコの食べ物ぐらい、なんとかつごうするから」
 ところがネコはいつ来ていつ帰っていくのか、父親にもわかりませんでした。
と、いうのも、痛いところにネコがのぼっているうちに、父親はいい気持ちになって、すぐにねむりこんでしまうからです。
 さて、ネコのおかげで、父親の具合がだんだんよくなっていきました。
 そんなある日の事、男の家に金持ちらしい商人が現れ、
「あなたの家にネコがいますか? いたら、ぜひゆずってください」
と、言うのです。
「たしかに一匹いることはいますが、夜しかもどってこないので、どこにいるかわかりません。それにわしらには大切なネコで、いくら金をつまれてもゆずるわけにはいきません」
 男は、きっぱりとことわりました。
 すると商人は、笑いながら首をふり、
「いやいや、生きたネコの事ではありません。ネコの置き物のことです」
と、言ったのです。
 そういえば、知りあいの人が面白半分に土でつくったネコの置き物があります。
 男は棚の上でほこりをかぶっている置き物を出してきて、商人に見せました。
「おう、これこれ。これをぜひゆずってください」
「ああ、いいですが、しかし、こんなものをどうして?」
 男がたずねると、商人はニコニコしながらわけを話しました。
「じつはゆうべ、面白い夢を見ましてね。どこかのネコが夢の中に現れて、『浅草の野菜売りの家にネコの置き物があるから、それをゆずってもらえば、ますます商売がはんじょうする』と言うのです」
「なるほど。それでわたしのところへ」
「はい、おたくにとっても大切なものと思いますが、そこをなんとか」
 商人は小判を何枚も出して、手をあわせました。
 それだけあれば、当分生活にはこまりません。
「わかりました。おゆずりしましょう」
 男がネコの置き物を渡すと、商人は喜んで帰っていきました。
 それにしても、あんなガラクタの置き物がなぜ商売につながるのか、男にはよくわかりません。
 ですが次の日、同じような夢を見たという客がやってきたのです。
 しかし家には、もうネコの置き物はありません。
 客が帰ったあと、
「あんな客がまた来たら、どうしよう?」
と、三人で話しあっていたら、近所の親しい人がやってきて、
「今戸焼(いまどや)きのネコを買ってきて、家に置いておけばいい」
と、教えてくれたのです。
 今戸(いまど→東京都台東区の北東部で隅田川に面する地名)というところは焼き物が盛んで、主にネコやカッパの置き物をつくっていました。
 男は商人からもらった金を持って今戸へ行き、ネコの置き物を二十個ほど仕入れてきました。
 すると次々に客がやってきて、ネコの置き物は面白いように売れるのです。
 ネコのおかげで、男は金持ちになりました。
 それとうれしい事に父親の病気はどんどんよくなり、家出していたネコももどってきたのです。
 男は野菜売りをやめて、浅草の観音さまの境内(けいだい)に店をかまえると、ネコの置き物を売ることにしました。
 小さな置き物から大きな置き物まで、たくさんの品物を仕入れて、座布団(ざぶとん)をつけて売ったのです。
 それから半年後、家を助けたネコの話が江戸中に広がり、浅草へ来た人はみんなこの店の置き物を買うようになったのです。
 さて、あの生きた方のネコは、一日中店の奥にいて、座布団の上に座っていましたが、次の年、眠るようにして死んだという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 銀行強盗の日
きょうの誕生花 → ローダンセ
きょうの誕生日 → 1965年 南原清隆 (タレント)

きょうの新作昔話 → 和田の竜
きょうの日本昔話 → とろかし草
きょうの世界昔話 → イブのいろんな子どもたち
きょうの日本民話 → ネコの置物を売る店
きょうのイソップ童話 → お百姓と、こごえたヘビ
きょうの江戸小話 → 用心

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2月12日の日本民話 長者の心を変えた仁王さま

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月12日の日本民話

長者の心を変えた仁王さま

長者の心を変えた仁王さま
富山県の民話富山県情報

 むかしむかし、田の又(たのまた)というところに板東長者(ばんどうちょうじゃ)と呼ばれるお金持ちが住んでいました。
 でもいつのころからか家運が傾き始めたので、家を立て直そうと思った長者は使用人たちを牛馬(ぎゅうば)のようにこき使いました。
 そのため使用人は一人減り、二人減りと、とうとう誰も寄りつかなくなってしまいました。
 そんなある日の事、筋骨(きんこつ)たくましい大男がやってきて、長者に、
「働かせてください」
と、たのむので、ためしに使ってみると、朝早くから夜遅くまでとてもまじめに働きました。
「いつもよく働くな。さて、そろそろお前の給金(きゅうきん→給料)を決めようと思うが、何か望みはないか?」
と、感心した長者が大男にいうと、
「取り入れが終わったら、イネを一かつぎいただくだけで結構(けっこう)です」
「おお、そんなことはおやすいごようさ。約束しよう」
 さて、その年の秋は、大男のおかげで大豊作(だいほうさく)です。
 大男は約束通りイネをもらうことになり、かりとったイネを全部ひとまとめにしばると、かるがると背負っていきます。
「おっ、おい、まってくれ!」
 長者が後を追いかけると、大男は法福寺(ほうふくじ)の仁王門(におうもん)の前でパッと消えました。
 長者が仁王門にやってくると、なんと門前に泥まみれのワラジがかけてありました。
 そのワラジは、長者が大男にあたえたワラジです。
「も、もしや」
 長者がそばにある仁王像の足元を見てみると、その仁王像の足も泥だらけでした。
「そうか、そうだったのか・・・」
 長者は、欲ぶかい心をいましめるために仁王さまが姿を変えて現れたことに気づき、その日から心をいれかえたので、だんだん家運を盛り返したという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ブラジャーの日
きょうの誕生花 → ねこやなぎ
きょうの誕生日 → 1979年 上原あやか (タレント)

きょうの新作昔話 → 生まれかわった赤ちゃん
きょうの日本昔話 → 金の持ち主
きょうの世界昔話 → オオカミとロバ
きょうの日本民話 → 長者の心を変えた仁王さま
きょうのイソップ童話 → ぞうもつを食べたこども
きょうの江戸小話 → 寒い国

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2月11日の日本民話 お酒の好きな子ザル

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月11日の日本民話

お酒の好きな子ザル

お酒の好きな子ザル
広島県の民話広島県情報

 むかしむかし、ある山に、お母さんと子どものサルがすんでいました。
 こまった事に子ザルはお酒が大好きで、こっそり人の家にしのびこんでは、お酒をなめていました。
「酒をのむとは、めずらしいサルだ。よし、あのサルをつかまえてやろう」
 それを見た猟師(りょうし)は、おけにいっぱい酒を入れて、山のサルの通る道へおきました。
「くんくん。おや、いいにおいがするぞ」
 においをかぎつけた子ザルが、おけのところにやってきました。
「わあっ、お酒だ」
 子ザルは大喜びで、お母さんのところへ行って言いました。
「あのね、山道にお酒があるよ」
 するとお母さんザルは、こわい顔で言いました。
「だめだめ! お前をつかまえようとして、猟師がわざとおいたにちがいない。どんなことがあっても、飲んではいけませんよ!」
 でも、お酒の好きな子ザルは、がまんができません。
「一口だけなら、のんでもいい?」
「だめだめ!」
「なめるだけなら、いい?」
「だめだめ!」
「なら、においをかいでもいい?」
 あんまりしつこく言うので、お母さんザルは、
「においをかぐぐらいならいいけど、ぜったいに飲んではいけませんよ」
と、言ってしまったのです。
 子ザルはすぐにおけのところへ飛んでいって、お酒のにおいをかぎました。
「ああ、いいにおいだ。おいしそうだなー」
 においだけと、お母さんザルと約束しましたが、でもにおいだけなんて、とてもがまんができません。
「一口ぐらいなら、いいだろう」
 子ザルはお母さんとの約束を忘れて、ゴクリとお酒を飲みました。
「おいしいな。もう一口」
「これでおわりにしよう。もう一口」
「さいごに、もう一口」
「おしまいに、もう一口」
「おまけに、もう一口」
「ぷはーっ、・・・よっぱらっちゃった」
 おけのなかのお酒をすっかり飲んでしまった子ザルは、そこへたおれて動けなくなりました。
「しめしめ、うまくいったぞ」
 さっきから木の後ろにかくれていた猟師は、たおれている子ザルをひろいあげると、山をおりていきました。
 かわいそうに子ザルは、お母さんとの約束を守らなかったために、二度とお母さんのところへもどることができませんでした。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 建国記念の日
きょうの誕生花 → フリージア
きょうの誕生日 → 1959年 井上紀良 (漫画家)

きょうの新作昔話 → おとわの池
きょうの日本昔話 → 笛の名人
きょうの世界昔話 → ゾウの鼻はなぜ長い
きょうの日本民話 → お酒の好きな子ザル
きょうのイソップ童話 → ロバとロバひき
きょうの江戸小話 → 浪人のこたつ

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2月10日の日本民話 雪こぞう

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月10日の日本民話

雪こぞう

雪こぞう
新潟県の民話新潟県情報

 むかしむかし、ある山のふもとに、お百姓(ひゃくしょう)さんの家がありました。
 とてもにぎやかな家で、おじいさんとおばあさん、お父さんとお母さん、それにたくさんの子どもたちがいました。
 ある、大雪のふった晩の事です。
 みんなはいろりのまわりに集まって、イノシシ汁が出来るのを待っていました。
 おいしそうなみそのにおいが、家中にながれていきます。
「まだかなあ?」
「おなかがすいて、もうがまんできないよ」
 子どもたちはワイワイ言いながら、なべをにらんでためいきをつきました。
 その時です。
 おもての戸がガラリと開いて、つめたい雪がふきこんできました。
 みんながビックリしてふりむくと、見なれない顔の七つぐらいの男の子が立っていました。
「お前、どこからきた?」
「・・・・・・」
「何か用か?」
「・・・・・・」
 何を聞いても、返事をしません。
 ですが、男の子はいろりのそばにやってくると、
「おらにも、ちいとあたらせてくれ」
と、言って火にあたりました。
「いいとも。もうすぐイノシシ汁もにえるから、一緒に食べていけ」
と、おじいさんが言いましたが、男の子はだまったままです。
「お前、家はないのか?」
「・・・・・・」
「これからどこへ行く?」
「・・・・・・」
 子どもたちがかわるがわるたずねても、男の子はだまってなべを見つめているだけです。
「さあ、おまちどおさま。あなたも一緒にお食べなさい」
 お母さんがみんなのおわんと一緒に、男の子の分のおわんを持ってきてあげました。
 お母さんがなべのふたをあけようとしたら、男の子がきゅうに立ちあがりました。
「ありがとう。おらすっかりあたたまったで、帰らしてもらう」
 お母さんが、あわてて止めました。
「子どもがえんりょなんか、するんじゃないよ」
 すると、男の子は
「おらもう、おなかがいっぱいだ」
 そう言ったかと思うと、風のように消えていきました。
「おかしな子どもじゃ、いったい、何しにきたのか?」
 みんな、不思議そうに首をふりました。
「一緒に食べていけばよかったのに」
 言いながら、お母さんがなべのふたをとると、
「あれえ! ない!」
 みんなもいっせいに、なべの中をのぞきこみました。
 見てみるとなべの中は空っぽで、何も入っていないおみそしるだけがグツグツとにえています。
「あいつが食べたんだ!」
「何がおなかがいっぱいだ!」
 子どもたちは男の子をつかまえようとして、外へとびだしました。
 でもどこへ行ったのか、男の子のすがたはなく、雪の上に足あともありませんでした。
「おかしなこともあるものだ」
 子どもたちは小首をかしげながら、もどってきました。
「でも、いつのまに食べたのかな?」
「そうだよ。ふたも開けないで」
 子どもたちはおなかのすいたのもわすれてなべを見つめていると、おばあさんが言いました。
「もしかして、雪こぞうかもしれないぞ」
「雪こぞうだって?」
「そうだ。むかしから雪のふる晩には雪こぞうが人間のすがたになって、ごちそうを食べにくるんだって。子どもの時、そんな話を聞いたことがある。あの子のすわっていたところを調べてみろ」
 おばあさんに言われて、子どもたちが男の子のすわっていたざぶとんに手をやると、ざぶとんは水をこぼしたようにグッショリとぬれていたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ニットの日
きょうの誕生花 → えんどう
きょうの誕生日 → 1944年 高橋英樹 (俳優)

きょうの新作昔話 → 田荒らしの馬
きょうの日本昔話 → 盗っ人小僧
きょうの世界昔話 → ウィリアム・テル
きょうの日本民話 → 雪こぞう
きょうのイソップ童話 → いっしょに旅をする人間とライオン
きょうの江戸小話 → 女中の脈

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2月9日の日本民話 わがままな星神さま

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月9日の日本民話

わがままな星神さま

わがままな星神さま
島根県の民話島根県情報

 むかしむかし、隠岐島(おきのしま)に、熱風(ねっぷう)が突然ふき出してきたかと思うと、東の空からまっ赤に燃えた火の石が一個とんできました。
 火の石は海辺の波うちぎわに落ちて、波間から光を発していました。
 石は鳥のような形をしており、六十センチほどの大きさです。
 海辺の人たちは、
「光を見ると、目がつぶれるぞ」
と、家の雨戸をしめて、石の方を見ないようにしていました。
 でも、これでは漁にもでられません。
 困ったことになったと村人たちが思っていると、海辺の村にすむ一人の漁師の夢に、天からふってきた星神(ほしがみ)だと名乗る老人が現れて、
「わたしをあのままにしておかずに、早くどこかにまつるように。それから、光をおそれることはない」
と、告げたのです。
 村の人たちはさっそく、重い星の石を海の中から運んで、砂浜に社(やしろ)をつくってまつりました。
 それから何日かすると、星神だという老人が、またほかの人の夢に現れて、
「あそこは気にいらない。ほかの場所へ移してほしい」
と、いうのでした。
 わがままな星神は、その後も何度も場所をかえさせました。
 そして最後に決まった場所は、島で一番高い山の頂上でした。
 星神は重いので運ぶのに苦労をしましたが、星神は高いところが気にいったようで、それからは何もいわなくなりました。
 星神は、そのころにはもう光を発しなくなっていましたが、山の頂上にまつったときから、島では豊漁(ほうりょう)がつづくようになったのです。
 島の人たちは星神をまつった山を、いつしか「星山(ほしやま)」と呼ぶようになり、豊漁を喜んでいましたが、三年後に別の星神がふってくると、どうしたことか、豊漁はおわってしまったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ふくの日
きょうの誕生花 → ストック
きょうの誕生日 → 1951年 あだち充 (漫画家)

きょうの新作昔話 → お経をよむ木仏
きょうの日本昔話 → もち屋の禅問答
きょうの世界昔話 → バナナの皮
きょうの日本民話 → わがままな星神さま
きょうのイソップ童話 → 石を引き上げた漁師
きょうの江戸小話 → おまけ

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2月8日の日本民話 ヘビになったマメのサヤ

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2月8日の日本民話

ヘビになったマメのサヤ

ヘビになったマメのサヤ
千葉県の民話千葉県情報

 むかしむかし、ある村の役人のところに、はるばる京の都から、清滝姫(きよたきひめ)という美しい娘が嫁入りしてきました。
 清滝姫は新しい生活になれてくると、もう亡くなっている両親のために、村にりっぱなお寺をたてました。
 ところが、お寺の完成がちかづいたときのことです。
 夜になると毎晩、村の南東の方角からお寺にむかってエノキの小枝が飛んでくるのです。
「何か悪い事がおこる前ぶれではないか?」
と、村の人たちはうわさしました。
 村の人たちは気味がわるいので、都から有名な占い師を呼んで占ってもらうと、
「これは南東の方角にあたる、染井(そめい)の峰(みね)のしわざであるぞ。染井の峰の山が、この寺にエノキの小枝を投げつけるのじゃ。染井の峰は、ここに寺ができるのをよく思わず、悪さをしておるのじゃろう」
と、いうのでした。
 そしてお寺に、エノキの木を植えればよいとつけくわえました。
 村の人たちは占い師がいうとおりに、染井の峰からエノキの木を持ってきて境内(けいだい)に植えると、おかしなさわぎもおさまって、お寺もりっぱに完成したのです。
 それから長い年月をかさねていくうちに、清滝姫がたてたお寺はくちはててしまいましたが、そのお寺の跡で不思議な事がおこったのです。
 お寺の跡の近くの高台に畑をつくっていた村のお百姓(ひゃくしょう)が、大角豆(ささげ)というマメをまいたところ、たくさんの収穫(しゅうかく)がありました。
 お百姓はよろこんで取り入れをすると、このマメを煮て食べるためにサヤをむきました。
 すると、むいたあとのすてたサヤが動きだして、何十匹もの金色のヘビになったのです。
「な、な、なんじゃ。これは?」
 お百姓は、ビックリ。
 いそいでむしろ袋にヘビをつめこむと、マメをとった畑へ持っていって土の中にうめてしまいました。
 それを聞いた、村のお年寄りは、
「畑のある高台は、清滝姫のお墓があったところじゃ。ヘビはその清滝姫を守っておったんじゃろう」
と、いったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 針供養
きょうの誕生花 → きんせんか
きょうの誕生日 → 1924年 久米明 (俳優)

きょうの新作昔話 → 八百比丘尼(やおびくに・はっぴゃくびくに)
きょうの日本昔話 → ウグイス長者
きょうの世界昔話 → 十二人の狩人
きょうの日本民話 → ヘビになったマメのサヤ
きょうのイソップ童話 → ヘビになったマメのサヤ
きょうの江戸小話 → まぬけな文吉

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2月7日の日本民話 あの世への迎え

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月7日の日本民話

あの世への迎え

あの世への迎え
福島県の民話福井県情報

 むかしむかし、会津(あいづ→福島県)の殿さまのもとに、直江山城守兼続(なおえやましろのかみかねつぐ)という家老(かろう)がいました。
 ある時、三室寺庄蔵(さんむろじしょうぞう)という山城守(やましろのかみ)の家臣(かしん)が、ささいなことから家来の一人を殺してしまいました。
 それを知った、殺された家来の身内の人たちは、
「家来だからといって、たいした事でもないのに、お手討(てうち→死刑)とはひどすぎる!」
と、うったえをおこしました。
 これをきいた、山城守(やましろのかみ)は、
「不欄(ふびん)なことをしたが、どうやっても死んだ者は帰らない。手厚くとむらい、それなりのお金でかんべんしてもらえ」
と、銀貨二十枚を、身内の者たちにあたえるようにいいました。
 けれども身内の者たちは納得せず、うったえをとりさげようとしません。
「わたしたちは、金などいりません。あくまでも、殺された本人をかえしていただきたいのです」
 それを知った城下(じょうか→町)の人々からも、同情(どうじょう)する声が高まってきました。
「身内のうったえは、もっともだ。直江さまは家臣をかばいすぎる!」
 すると山城守は、殺された家来の兄とおじ、おいの三人を呼びだして、こういいました。
「死んだ者をかえせというが、どうすればよいのじゃ。それほどまでにいうなら、本人を呼びもどすほかあるまい。すまぬがそなたたち三人で、これからエンマ大王のところへいってつれもどしてまいれ」
 山城守は三人を橋のたもとへつれていくと、そこで三人を切り殺してしまったのです。
 そして橋のたもとに、次のような立て札(ふだ)をかかげました。
《わが家臣、三室寺庄蔵が家来を成敗(せいばい)したが、身内の者たちがなげき悲しんで本人をどうしても呼びかえしてくれと申してきかない。そこで、身内の者の三人をむかえにやることにした。エンマ大王さま、先にそちらへいった者を、ぜひ三人にかえしてくださるよう、おそれながら願いあげる。慶長二年(一五九七年)二月七日 エンマ大王殿へ 直江山城守兼続》
 この立て札をかかげてから、町の人たちはおそろしくなって何もいわなくなりました。
 山城守のやりかたを、
「さすがは山城守!」
と、ほめたたえる者もいましたが、
「ずいぶんと身勝手(みがって)で残酷(ざんこく)な処置(しょち)だ!」
と、山城守をおそれて、うらむ者たちもずいぶんいたそうです。
 ちなみに山城守は、それから二十二年後の十二月十九日に、六十歳でなくなりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 北方領土の日
きょうの誕生花 → おたふくなんてん
きょうの誕生日 → 1949年 柳井正 (ユニクロ社長)

きょうの新作昔話 → 金魚に取りつかれた若者
きょうの日本昔話 → 徳政じゃ
きょうの世界昔話 → ふしぎな玉
きょうの日本民話 → あの世への迎え
きょうのイソップ童話 → マムシとミズヘビ
きょうの江戸小話 → かけ値

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2月6日の日本民話 ニャンコの鳴き声

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月6日の日本民話

ニャンコの鳴き声

ニャンコの鳴き声
群馬県の民話群馬県情報

 むかしむかし、あるお寺に、和尚(おしょう)さんが一人で住んでいました。
 ある日、お葬式(そうしき)をすませてもどってくると、雨水をためておいたタライにネズミが一匹落ちて、おぼれそうになっていました。
「よしよし、いま助けてやるぞ」
 和尚さんはネズミをすくいあげると、ていねいにぬれた体をふいてやり、逃がしてやりました。
 それから何日かして、かわいい娘さんがお寺にきて、
「子どものお祝いをするから、ごちそうを食べにきてください」
と、言ったのです。
 和尚さんが娘さんのあとについていくと、なんと大勢の人たちがおもちをついています。
♪ニャンコの声は、まだ聞かぬ。
♪ドッテン、バッテン
♪ドッテン、バッテン
 みんな楽しそうにかけ声をかけるので、和尚さんもおもしろくなり、
♪ニャンコが来たぞ
♪ニャー、ニャー、ニャー
と、ネコのまねをしました。
 すると、もちをついていた人たちはいっせいにネズミの姿になって、
「チュー、チュー」
と、鳴きながら逃げていきました。
 和尚さんが、はっとして気がつくと、お堂の下にすわっていました。
「ああ、せっかくのごちそうを食べそこなった」
 和尚さんは、ガッカリしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 海苔の日
きょうの誕生花 → あぶらな
きょうの誕生日 → 1940年 デヴィ夫人 (インドネシア大統領の第三夫人)

きょうの新作昔話 → 少女ギツネ
きょうの日本昔話 → 雪の夜どまり
きょうの世界昔話 → 雪だるま
きょうの日本民話 → ニャンコの鳴き声
きょうのイソップ童話 → キツネとヒョウ
きょうの江戸小話 → あんどん

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2月5日の日本民話 十二支の動物とタヌキの戦い

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2月5日の日本民話

十二支の動物とタヌキの戦い

十二支の動物とタヌキの戦い
奈良県の民話奈良県情報

 むかしむかし、十五夜の月の美しい、ある夜の事です。
 ネズミ、ウシ、トラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、ニワトリ、イヌ、イノシシの十二支にえらばれた動物たちが、草原に集まって十五夜の月をめでる歌あわせの会をしました。
 そこヘシカがやってきて、歌あわせの審判(しんぱん)をすることになりました。
 どの動物たちの歌もお月さまの美しさをうたっていて、とても見事なできばえです。
 シカの審判も公平で、不満をいうものはいませんでした。
 歌あわせがおわると、十二支の動物たちは一品ずつ持ちよってきた料理で宴会(えんかい)をひらいて、シカをねぎらいました。
 それから何日かあとに、また歌あわせの会がもよおされることになりました。
 すると審判に、タヌキが名のり出てきました。
 タヌキはシカのようにごちそうが食べられると思って、名のり出たのですが、ちゃんと審判せずに口から出まかせばかりいうので、すぐに追いだされてしまいました。
 ごちそうにありつけなかったタヌキは、くやしくてたまりません。
 そこでキツネ、クマ、オオカミなど、十二支に入っていない動物たちを味方につけて、十二支の動物たちをやっつけることにしました。
 ところがこの作戦が、十二支の動物たちにもれてしまったのです。
 十二支の動物たちは、
「それならこちらから、タヌキ軍団のこもる古いお城へのりこもう」
と、相談がまとまりました。
 ふいをつかれたタヌキ軍団は、城内になだれこんでくる十二支軍団にビックリ。
 十二支軍団の先頭をきって、ネズミ隊が城の中へ走りこんでいくと、タヌキ軍団のネコ隊がとびだしてきて追いたてました。
 ネズミ隊が逃げてくるとイヌ隊がでていって、こんどはネコ隊が城の中へ逃げこんでいきました。
 合戦は五分五分でしたが、あまり信用のないタヌキ軍団からは、うらぎり者が次々にでて、ついには大将のタヌキも城から逃げだしてしまいました。
 けれども、タヌキはあきらめることをしません。
 今度はテングを仲間にして、十二支軍団にひとあわふかせようとしましたが、十二支軍団のが大あばれをしたので、テングは長い鼻をへしおられて逃げてしまいました。
 戦いにやぶれたタヌキは、
「こうなったら、さいごの手だ」
と、オニに化けましたが、十二支軍団の陣地(じんち)に近づいていくと、鼻のよくきくイヌに正体をかぎわけられてしまったのです。
 はげしくほえたてられ、かみつかれそうになって、タヌキはあたふたと逃げていったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロ野球の日
きょうの誕生花 → ぼけ
きょうの誕生日 → 1956年 大地真央 (俳優)

きょうの新作昔話 → 灰まき童子
きょうの日本昔話 → 星を落とす
きょうの世界昔話 → 王子さまの耳はロバの耳
きょうの日本民話 → 十二支の動物とタヌキの戦い
きょうのイソップ童話 → ロバと小イヌ
きょうの江戸小話 → かげぐち

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2月4日の日本民話 しり鳴りしゃもじ

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2月4日の日本民話

しり鳴りしゃもじ

しり鳴りしゃもじ
岩手県の民話岩手県情報

 むかしむかし、ある男がしゃもじのおかげで、お金持ちのおむこさんになった夢を見ました。
 次の朝、男が庭に出てみると、ツバキの木の下に、夢とそっくりなしゃもじが落ちているではありませんか。
 男はしゃもじをひろいあげると、自分のほっぺたをなでてみました。
 そのとたん、ほっぺたが
♪ウタピト、タピト
♪ウタピト、タピト
と、鳴りだして、止まらなくなってしまいました。
(こりゃ、こまったぞ)
 男はあわててほっぺたをおさえましたが、やっぱり、
♪ウタピト、タピト
♪ウタピト、タピト
 そこで思わず、しゃもじのうらでほっぺたをなでてみたら、ウタピトがピタリと止まりました。
(なるほど、こりゃいいものをさずかったぞ。しゃもじのおもてでたたけば鳴り、うらでたたけば止まるんだな)
 男は喜んで、町に出かけました。
 すると向こうからお手伝いさんをお供につれた、お金持ちの娘さんがやってきました。
 とてもきれいな娘さんで、男はいつも、
(この娘さんのおむこさんになれたら、どんなにいいだろう)
と、思っていました。
 男は娘さんのそばを通る時、しゃもじのおもてで娘さんのおしりをなでました。
 そのとたん、娘さんのおしりが鳴りだしました。
♪ウタピト、タピト
♪ウタピト、タピト
 娘さんはビックリして、おしりをおさえましたが、
♪ウタピト、タピト
♪ウタピト、タピト
 道を歩いていた人たちも、あきれたように娘さんを見て言いました。
「かわった音のおならをする娘さんだ」
「それにしても、おならをしながら歩くなんて、若い娘がなんてはしたない」
 娘さんは、はずかしくてはずかしくて、なきそうになりながら家にもどっていきました。
 娘さんは自分の部屋へ飛込むと、頭からふとんをかぶってねてしまいました。
 それでも、音は止まりません。
♪ウタピト、タピト
♪ウタピト、タピト
 お金持ちはあわててお医者さんをよびましたが、お医者さんもどうしていいかわかりません。
 そこでしかたなく、家の前に立てふだを立てました。
《娘の病気をなおしてくれた者は、この家のむこにする》
 それを見て、男はさっそくお金持ちの家にやってきました。
「わたしが、娘さんの病気をなおしてあげましょう」
 男は家の者を娘さんの部屋から追い出して、しゃもじのうらで娘さんのおしりをなでました。
 そのとたん、音はピタリと止まりました。
「なおった、なおったぞ!」
 お金持ちは、大喜びです。
 男は娘さんのおむこさんになって、一生しあわせにくらしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 銀閣寺の日
きょうの誕生花 → つばき
きょうの誕生日 → 1953年 山下達郎 (シンガー)

きょうの新作昔話 → こきんだぬきと親分
きょうの日本昔話 → 頭の池
きょうの世界昔話 → しおづけのニシン
きょうの日本民話 → しり鳴りしゃもじ
きょうのイソップ童話 → 近所に住む2匹のカエル
きょうの江戸小話 → ほどほどに

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2月3日の日本民話 冗談のお願い

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月3日の日本民話

冗談のお願い

冗談のお願い
兵庫県の民話兵庫県情報

 むかしむかし、あるところに、仏さまをいっしょうけんめいおがんでいるおばあさんがいました。
 おばあさんは、毎日のようにお寺にお参りして、
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・・」
と、おがんでいました。
 おばあさんは、もうすっかり年をとっていて、早く極楽(ごくらく→天国)からお迎えがこないか、そればかり考えていました。
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ、もう生きていてもしかたありません。仏さま、どうぞ一日も早く、わたしをお迎えにきてください」
 それを聞いていた、お寺の小僧(こぞう)さんは、
(あんなこと言ってるけど、本当に早く死にたいのかどうか。一つためしてやろう)
と、思いました。
 そこである日、仏壇(ぶつだん)のうしろにかくれて、おばあさんの来るのを待っていました。
 やがておばあさんがやってきて、いつものようにおがみます。
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ、早くわたしを楽にしてください」
 そのとたん、小僧さんが言いました。
「よしよし、そんなに言うのなら、明日、いよいよ迎えにきてやろう。極楽へいってゆっくりするがよい」
 さあ、それを聞いたおばあさんはビックリです。
「いえいえ、まだ、わたしは生きていとうございます。お迎えにくるのは、うーんとうーんと先にしてください」
 おばあさんはたたみにおでこをこすりつけると、何度も何度も頭をさげました。
「まだ死にたくないのなら、なぜそんな事を頼むのじゃ?」
「いえ、その、あれは、ほんの冗談(じょうだん)です。さっきのお願いはとりけしますから、どうぞ長生きさせてください」
 小僧さんはおかしくて、笑いたくなるのをジッとがまんしていました。
 さて、しばらく不思議そうに仏さまを見ていたおばあさんは、
「この仏さまは、なんてよくわかる仏さんだろう。これじゃ、うかうか、お参りもできないねえ」
と、言いながら、帰っていったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 節分
きょうの誕生花 → ひいらぎ
きょうの誕生日 → 1963年 川合俊一(タレント)

きょうの新作昔話 → とうがらし売りとかき売り
きょうの日本昔話 → 節分の鬼
きょうの世界昔話 → オオカミと七匹の子ヤギ
きょうの日本民話 → 冗談のお願い
きょうのイソップ童話 → メスネコとアフロディテ
きょうの江戸小話 → 鬼は外

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2月2日の日本民話 黄門さまのイジワル

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月2日の日本民話

黄門さまのイジワル

黄門さまのイジワル
茨城県の民話茨城県情報

「ひかえおろう。この紋所(もんどころ)が、目に入らぬか」
と、身分をかくして日本中を巡(めぐ)り歩き、悪人をこらしめる水戸黄門(みとこうもん)は、テレビなどで有名です。
 でも実際の黄門さまは、学問をつづけながらひっそりとくらし、1700年(元禄13年)12月6日、72歳で静かに世を去ったそうです。
 その黄門さまは子どものころ、たいへんな悪ガキで、いつも友だちと遊んでばかりいました。
 ある時、父親の殿さまが黄門さまにたずねました。、
「もし戦場(いくさば)でわしがふかい傷(きず)を負(お)って倒れたら、お前はわしを助けるか?」
 すると、黄門さまは、
「いいえ。助けません」
と、きっぱりいいました。
「なんだと! なぜ、父を助けぬのだ!」
と、ききかえされて、
「わたくしは倒れた父上をのりこえて、敵(てき)と戦います」
と、答えたので、殿さまはとても感心したそうです。
 さて、黄門さまには三木武太夫(みきたけだゆう)という、おそばにつかえる者がいました。
 武太夫(たけだゆう)は子どものときから、『カミナリ』と『アズキがゆ』が大きらいで、それは大人になってもかわりませんでした。
 ある時、黄門さまは武太夫を呼んでたずねました。
「その方の好物(こうぶつ)は、なんであったか?」
「はい。カミナリとアズキがゆが大好物であります」
 武太夫は見栄(みえ)をはって、そうこたえました。
「そうか。カミナリは出せぬが、アズキがゆならすぐにできよう」
 黄門さまはアズキがゆをつくらせて、持ってこさせました。
「さあ、食べてよいぞ。・・・どうした? 好物であろう?」
「はい、・・・」
「食べぬのか? それとも、アズキがゆはきらいか?」
「いえ、その・・・」
 武太夫は決心すると、目をつぶり、のみこむようにして食べました。
 それからしばらくたって、黄門さまにお客がきたときのことです。
 空がきゅうに暗くなり、カミナリが鳴りだしました。
 黄門さまは、しめたとばかりに言いました。
「お客人よ。実はな、ここにはカミナリの大好きな者がおりまして、あれが鳴ると大喜びするのです」
と、お客にそういって、武太夫を呼びよせ、
「ほれ、大好物のカミナリが鳴っておるぞ。うれしいだろう。すまぬが、投網(とあみ)をうって池の魚をとってまいれ」
「はい、その、それは・・・」
「なにをしておる。カミナリはきらいか?」
「いえ、その・・・」
 武太夫は決心すると、雷鳴(らいめい)のとどろく中、池にいって魚をとってきました。
 それからもこのような事がなんどもあり、武太夫はカミナリとアズキがゆぎらいを克服(こくふく)していったのです。
 それからのち、黄門さまが亡くなってから武太夫は、
「どんなにきらいな物でも、努力でなおせるものだ。それを黄門さまから教えられた」
と、黄門さまの行動(イジワル?)を、とても感謝したという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → バスガールの日
きょうの誕生花 → パンジー
きょうの誕生日 → 1972年 HISASHI (GLAY)(タレント)

きょうの新作昔話 → 米塚山と糠塚山
きょうの日本昔話 → おだんごコロコロ
きょうの世界昔話 → ジャックとマメの木
きょうの日本民話 → 黄門さまのイジワル
きょうのイソップ童話 → ハイエナ
きょうの江戸小話 → 聞きまちがい

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2月1日の日本民話 なますの好きな侍

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月1日の日本民話

なますの好きな侍

なますの好きな侍
石川県の民話石川県情報

 むかしむかし、能登の国(のとのくに→石川県)のある岬(みさき)に、大島藤五郎(おおしまとうごろう)という浪人(ろうにん)が住んでいました。
 藤五郎は魚のなます(魚や貝などをこまかく切って、すにひたした食べもの)が大好きで、これがないと一日もがまんができません。
「よくもあきずに、毎日毎日食べられるものだ」
と、人がいっても、
「世の中に山海の珍味(ちんみ)は多くとも、なますにまさるものはない。いくら食べようと、あきることがない」
と、いうのです。
 さてある日の午後、藤五郎は仲間をつれて浜辺に出かけました。
 とてもおだやかな日で、朝早く沖へ出た漁師たちがたくさんの魚を船にのせて、つぎつぎと浜へもどってきます。
 それを見ると、藤五郎はもうがまんができず、さっそく魚を何匹も買いとり、
「うまそうな魚だ。なますをつくって、みんなにもごちそうしよう」
と、近くの漁師の家で、料理の道具を借りてきました。
 浜辺にむしろをしいて料理を始めましたが、大好物というだけあって、なますづくりの腕はだれよりも上手です。
 大きなおけの中は、たちまちなますの山になりました。
「さあ、どんどん食ってくれ」
 そういって、藤五郎もなますを口にほおばりました。
「うむ?」
 とたんに、魚の骨がのどにひっかかったような気がしたので、あわててはきだしてみると、マメつぶぐらいの赤い玉のような骨が出てきたのです。
「拙者(せっしゃ)としたことが、骨を残すとはなさけない」
と、いいながら、その骨を茶わんに入れて、皿でふたをしました。
 あらためてなますを食べてみましたが、もう骨は残っておらず、いつもと変わらないおいしさです。
「なるほど、おぬしのいうように、なますとはうまいものだ」
 仲間たちも舌つつみを打って、なんどもおかわりをしました。
「いやあ、食った、食った」
 仲間たちが満足しておなかをさすっていると、とつぜん骨を入れておいた茶わんが転がり、赤い玉のような骨が飛び出してきました。
 みんながその骨を見ていると、みるみるうちに一尺(いっしゃく→約三十センチ)ぐらいにのびて、やがて人の形になって動きはじめたのです。
 あまりの不思議さに、藤五郎も仲問たちも目を丸くしたまま声が出ません。
 人の形になった骨は、グルグルと動きまわるうちに、六尺(ろくしゃく→約百八十センチ)ばかりの大男になって、藤五郎めがけておそいかかってきたのです。
 藤五郎はあわててうしろへとびのき、を抜きました。
 浪人とはいえ、藤五郎はすご腕のです。
 相手のおなかめがけて刀をつき出すと、大男はクルリと身をかわして、今度はこぶしをにぎりしめて、藤五郎の頭をなぐりつけてきます。
 こんな大きなこぶしになぐられたら、ひとたまりもありません。
 藤五郎も負けじと身をかわして、相手のすきを見て背中に切りつけました。
 そのとたん、ドッと血が吹きだして、砂浜を赤くそめました。
 それでも大男はこぶしをふりあげて、ものすごい形相(ぎょうそう)でおそいかかってきます。
 仲間たちもすけだちしようと刀を抜いたのですが、目の前が霧(きり)のようにかすんでよく見えず、大男と藤五郎のはげしい息づかいが聞こえるばかりです。
 さすがの藤五郎も疲れてきて、こぶしでなぐられそうになったとき、運よくその腕を切りおとしました。
「ギャーーー!」
 さすがの大男もこれにはたまらず、ものすごい悲鳴をあげて倒れました。
「やったぞ!」
 藤五郎の声が、霧の中から聞こえてきました。
 仲間たちが息をのんで声のする方を見つめていると、やがて霧が晴れて、返り血に染まった藤五郎が片手になにかをさげて立っていました。
 大男はどこへ消えたのか、姿はありません。
「見ろ、大男の腕を切りおとしたぞ!」
 仲間たちがかけよると、それは大男の腕ではなく、大きな魚のひれでした。
 それでも藤五郎は、魚のひれをふりまわし、
「やった、やった!」
と、さけびながらかけまわり、バタンと気を失って倒れました。
 仲間たちは藤五郎を家に運び、医者をよんできましたが、いっこうに目を覚ましません。
 それでも七日ほどしてようやく目を覚ました藤五郎に、あの時のようすをたずねてみましたが、藤五郎はまるでおぼえていないというのです。
 あの大男は、魚を食べ過ぎる藤五郎に仲間の仕返しをしにきた、魚の妖怪だという事です。

おしまい

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