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2008年12月

12月31日の日本民話 おさかべひめ

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月31日の日本民話

おさかべひめ

おさかべひめ
兵庫県の民話兵庫県情報

 あまりの美しさに白鷺城(しらさぎじょう)とよばれ、国宝であり世界遺産でもある姫路城に、古くから伝わるお話しです。
 むかしむかし、このお城の天守閣(てんしゅかく)に、幽霊(ゆうれい)がすみついているとのうわさがたちました。
 そのため昼間でも、天守閣には誰一人、近づきません。
 ある雨の夜の事。
 お城にとまりこんで、一晩中おきている役目の五人の(さむらい)たちが、
「幽霊の正体(しょうたい)は、何者だろう?」
と、話していました。
 すると、一番若い侍が、
「わたしが、見届けてまいります」
と、ロウソクを手に、天守閣への暗い階段を登っていきました。
 天守閣は、お城のてっぺんにある部屋です。
 侍が天守閣に登り着くと、戸のすき間からボンヤリと、明かりがもれているではありませんか。
 侍が、中の様子をうかがっていると、
「だれじゃ? そこにおるのは、だれじゃ?」
 部屋の中から、声がかかりました。
 侍が名前を名乗って、なぜ、ここに来たのかをありのままに話しました。
「では、お入りなさい」
 侍は恐る恐る、戸を開けました。
 するとそこには、女の人が一人、机の前に座っていました。
「・・・!」
 侍は、声をあげそうになりました。
 髪の長い女の人は、十二ひとえの着物に、赤いはかまをはいています。
 美しい顔立ちですが、その顔色の青白さは、生きている人間ではありません。
「よく来ましたね。わたしはおさかべ姫。このお城の主じゃ。お前の勇気をほめて、これをとらせましょう」
 おさかべ姫は侍に、かぶとの切れはしをわたしました。
「ありがとうございます」
「しかし、ここは人の来るところではありません」
「はっ」
「では、おさがりなさい」
 侍は無事に天守閣を出ましたが、背中が冷や汗でグッショリです。
 侍の仲間は、若い侍が無事に戻ってきたので、
「どうだ? 正体を見届けたか?」
「どんな幽霊だった?」
と、口ぐちにたずねました。
 若い侍は、かぶとのきれはしを見せると、全てを仲間に話しました。
 そしてその話は、さっそくお殿さまの耳に入りました。
 次の朝、お殿さまは若い侍をよんで、
「おさかべ姫にもらったという、かぶとのきれはしをみせてくれ」
と、いいました。
 侍が、かぶとのきれはしを差し出すと、
「ふむ。見覚えのあるきれはしじゃ。調べてみよう」
 お殿さまはお城に昔から伝わっている、よろいかぶとやをおさめた部屋を調べました。
「やはりこれだ、これにまちがいない」
 かぶとの一つのうしろのしころ(→よろいかぶとの左右から後方にたれて、あごを守る鉄製の物)が、ひきちぎられています。
 きれはしをあててみると、ピッタリとあいました。
「かぶとのしころを引きちぎるとは、恐ろしい力の持ち主。おさかべ姫のたたりをうけないよう、天守閣のわきに明神(みょうじん)さまのほこらをまつろう」
 このときから、姫路城ではお殿さまがかわっても、おさかべ姫を恐れて、ほこらを大切にしつづけたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 大晦日
きょうの誕生花 → ゆず
きょうの誕生日 → 1967年 江口洋介 (俳優)

きょうの新作昔話 → 鬼がつくった鬼の面
きょうの日本昔話 → かさじぞう
きょうの世界昔話 → マッチ売りの少女
きょうの日本民話 → おさかべひめ
きょうのイソップ童話 → イヌとオオカミ
きょうの江戸小話 → 切腹浪人

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12月30日の日本民話 バケモノすっとびかご

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12月30日の日本民話

バケモノすっとびかご

バケモノすっとびかご
大阪府の民話大阪府情報

 むかしむかし、ある秋の夕ぐれのことです。
 村はずれの松の老木(ろうぼく)の下に、カゴが一ちょうおいてありました。
 女の人をのせる、美しいかごです。
 それを、たきぎをひろいにきた二人の男の子が見つけました。
「りっぱなカゴだな。いつからおいてあったんだ?」
 カゴを見つけた子どもに、知らせをきいてやってきた村の男たちがたずねました。
「おいらがここへきたときは、なかったんだ。たきぎをひろってかえろうとしたら、おいてあったんだ。中で音がしたから開けてみようとしたら、きれいな若い女の人が顔をだしたんだ」
「人さわがせだな。カゴかきはどこへいったんだろう? まさか、カゴが一人でここへきたわけではあるまい。ちょっと中の人にきいてみよう」
 一人の男がそういいながら、カゴの戸に手をかけようとすると、戸がするするとひらいて、中から女の人が顔をのぞかせました。
「あれ?!」
 カゴの中から顔をのぞかせたのは、頭に白いものがまじった色の白い女の人です。
 きらびやかなきものをきてはいますが、とても、若いきれいな娘ではありません。
 あたりがくらくなってきているので、男は子どもたちが年をみまちがえたのだと思いました。
「あの、あなたさまは、どちらのお屋敷のおかたですか? それからこんなところに、どうしていらっしゃるのですか? カゴかきがにげてしまったというのなら、わたしたちがお屋敷までお送りいたしますが」
 男はいろいろたずねましたが、カゴのなかにいる女の人はだまっています。
 何を聞いても、返事一つしないのです。
 そして、上目づかいに村の男たちを見ながら、ときどきうすきみわるい笑みをもらしていました。
「・・・。このおかたは口がきけないんだろう。しかたがないから、このままにしておこう」
 あたりがくらくなると、女の人の白い顔が、ますます気味悪く見えてきます。
 男たちはカゴをそのままにして、帰っていきました。
 けれども、やっぱり気になります。
「あのあたりは、夜になるとオオカミが出るところだ。ほうっておいたら、食われてしまうぞ。なんともうすきみわるい人だが、今夜ひと晩だけでも、わしらで番をしてやろう」
 村の男たちは相談をすると、五人ばかりの若者をえらびました。
 そして、たいまつをともしながら、村はずれの松の木の下へでかけていきました。
 すると、カゴはもうどこかにきえていました。
「おや? カゴかきどもが、もどってきたんだな。きっと酒でものみにいったんだろう。まったく人さわがせなことだ」
と、ぶつぶつ文句をいいながらも、ひと安心して男たちがもどってくると、
「おい、おい。あのカゴが河原にあるとよ。馬子(うまこ→ウマをひいて人や荷物を運ぶことを仕事とする人)たちがカゴの中をのぞこうとしたら、十七、八の、みたこともないような美しい娘が顔をだしたとよ」
「な、なんだと?」
 男たちは、顔をみあわせました。
 男たちの見たのは、たしかに年老いた女の人でした。
「そんなばかな。おれ、みてくる」
「おれもいく」
 今度は河原めざして、走っていきました。
 すると途中のお宮のうらの松の木の下に、あのカゴがありました。
「おかしいな。こんなところにカゴがあるぞ」
 男たちがおそるおそるカゴに近づくと、カゴの戸がするすると開きました。
 そして中から、
「ぎゃあー、出たー!」
 男たちはビックリして、逃げだしました。
 カゴの中からでてきたの、娘と、老婆と、のっぺらぼうと、二匹のヘビだったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 正月飾りの日
きょうの誕生花 → やぶこうじ
きょうの誕生日 → 1971年 元木大介 (野球)

きょうの新作昔話 → 小槌(こづち)の柄(え)
きょうの日本昔話 → うぶめにもらったかいりき
きょうの世界昔話 → ものしりフクロウ
きょうの日本民話 → バケモノすっとびかご
きょうのイソップ童話 → かじ屋とイヌ
きょうの江戸小話 → 雪やこんご

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12月29日の日本民話 竜とニワトリ

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12月29日の日本民話

竜とニワトリ

竜とニワトリ
沖縄県の民話沖縄県情報

 むかしむかし、海と山にはさまれた小さな村がありました。
 人びとは山の木を切ってまきをつくり、船で遠く那覇(なは)の町まで運びこんで、それを売ったお金でくらしていました。
 この村には、貧乏だけど名医とのうわさの高い、お医者さんがおりました。
 ある日のタぐれ、お医者さんのところへ金持ちの娘が一人でたずねてきました。
 お医者さんは、一目で娘が何かの化け物であることを見破りましたが、だまって、その痛いとうったえるところをみてあげました。
「どれどれ。・・・これは!」
 なんと化け物の耳の中で、ムカデが一匹、あばれているのです。
「これは大変だ。だがその前に、あんたの正体を現しなさい!」
 娘はコクリとうなずいたかと思うと、口から白い霧(きり)をふき出して、一匹の大青竜(だいせいりゅう)になりました。
 そして目に涙をいっぱいためて、お医者さんを見つめています。
「おお、よしよし。今に楽にしてあげよう」
 お医者さんはそういいながら、竜の耳の中にニワトリを入れてやりました。
 さあ、それから青竜の耳の中で、ムカデとニワトリのたたかいがはじまりました。
 ムカデとニワトリは竜の耳の中で大暴れしましたが、竜はジッとガマンしました。
 それからまもなく、竜の耳からニワトリがムカデをくわえて出てきました。
「よかった、よかった。これで大丈夫だ」
 すっかり元気を取りもどした竜は、お医者さんに竜胆(りゅうたん→リンドウの根を乾燥した胃薬)をさし出して、ニワトリには大きな頭を何度も下げて、天にのぼっていったそうです。
 それからあと、竜はどんなに腹をたてて天に黒雲を呼び、地に大雨をふらせ、海に竜巻きを起こすことがあっても、そこにニワトリの姿を見つけると、ニワトリにケガをさせてはいけないと、すぐにおとなしくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → シャンソンの日
きょうの誕生花 → なんてん
きょうの誕生日 → 1960年 岸本加世子 (俳優)

きょうの新作昔話 → 屋敷を救ったカエル
きょうの日本昔話 → 火正月
きょうの世界昔話 → 仕事のとりかえっこ
きょうの日本民話 → 竜とニワトリ
きょうのイソップ童話 → ヤギの番入と野生のヤギ
きょうの江戸小話 → 他行

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12月28日の日本民話 順庵先生とふたごのキツネ

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12月28日の日本民話

順庵先生とふたごのキツネ

順庵先生とふたごのキツネ
茨城県の民話茨城県情報

 むかしむかし、ある町に名医と評判の順庵(じゅんあん)というお医者さんがいました。
 ある夜ふけの事、ちょうちんをかざした三人の若い男がやってきて、
「こんな、ま夜中にすみません。町はずれのお宮(みや)の裏(うら)にすむ長左衛門(ちょうざえもん)の奥さんのおさよが、急に産気(さんけ)づいて、いまにも生まれそうなのです。おさよはもう四十をこえていますので、とても苦しんでいます。どうか、すぐにきてください」
と、いうのです。
 順庵先生はすぐに道具をそろえると、それを若者たちに持たせて家を出ました。
 長左衛門の家につくと、大きなおなかをした奥さんが苦しそうにうなっています。
「わしが来たからには安心せい。さあ、お前さんたち、お湯をたくさんわかすんじゃ。そして道具が入ったつつみは、ここへ置いておくれ」
 順庵先生が診察(しんさつ)をしようとすると、奥さんのおさよが、きゅうに大きな声をあげました。
 すると元気な泣き声がきこえて、ふたごの男の子が生まれたのです。
「なんと、ふたごとはな。母親はすこし年をとっておるが、無事に生まれてなによりじゃ。まあ、わしはなにもせんかったがな。あははははは」
 順庵先生は、笑いながらいいました。
「いやいや、ありがとうございました。さあ先生、どうぞこちらへ」
 となりの部屋に案内されると、ごちそうの用意ができていました。
 順庵先生は長左衛門や親戚(しんせき)の人たちにお酒をつがれて、おいしそうにのんでいましたが、いつのまにか寝てしまいました。
 そしてふと目をさますと、順庵先生はお宮の前の原っぱに寝ていたのです。
「なんじゃ? ここはどこだ? ・・・そうか、ばかされたか」
 順庵先生は、自分がキツネにだまされた事を知りました。
 それから、しばらくたったある日のこと。
 順庵先生は、町の人からこんな話をききました。
「お宮の裏にすみついているキツネの中で、もう毛がぬけかけておる一番年をとったメスギツネが、このあいだ二匹の子ギツネをうんだんですわ。母親は子どもが心配で、一日じゅうそばをはなれようとしません。人間でもキツネでも、やっぱり子どもはかわいいもんですな」
「そうか。それはよかった」
 話をきいた順庵先生は、次の日、さっそくそのキツネたちを見にいったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → シネマトグラフの日
きょうの誕生花 → くまざさ
きょうの誕生日 → 1968年 星出彰彦 (宇宙飛行士)

きょうの新作昔話 → お雪の伊勢参り
きょうの日本昔話 → 豆つぶころころ
きょうの世界昔話 → プリンのしおかげん
きょうの日本民話 → 順庵先生とふたごのキツネ
きょうのイソップ童話 → オオカミとロバ
きょうの江戸小話 → 借金取りのこうでん

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12月27日の日本民話 米問屋のお礼

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12月27日の日本民話

米問屋のお礼

米問屋のお礼
宮崎県の民話宮崎県情報

 むかしむかし、ある海辺に、おじいさんとおばあさんと息子と嫁とが暮らしていました。
 おじいさんと息子は沖に出て魚をとり、おばあさんと嫁は機(はた)を織(お)る毎日でした。
 ある日の事、おじいさんと息子が沖へ漁に出ていると、急に空模様(そらもよう)があやしくなってきました。
「こりゃ、大雨になるぞ」
「お父っつぁん、あの島へ行こう」
 二人は大いそぎで、近くの島へ逃げました。
 だんだん雨風が強まるなか、やっと舟をおかに押し上げて、洞穴(ほらあな)にこもり、大荒れに荒れる海を見ながら、二人はジッと夜を明かしました。
 次の朝、大雨がやんだので、二人は舟を出して魚とりをはじめました。
 アミを海に入れると、とても重い手ごたえがあります。
 二人がなんとかアミを引き上げてみると、アミの中には二十五、六歳の立派(りっぱ)な着物を着た男がかかっていたのです。
「お父っつぁん、こりゃあ」
「うむ、ゆうべの大雨に流されてきたお人じゃろう。かわいそうなことだ。もう死んでいる」
 二人は島に穴をほると、その男をていねいにうめてやりました。
「今日は、ひきあげよう。おばあさんに頼まれていた物を買ってから帰ろう」
 二人は大きな町がある港へ、舟をこぎ寄せました。
 おみそやお米を買おうと、お米屋へ行ったら、そこの旦那(だんな)が声をかけてきました。
「もし、あなたたちは、昨夜の大雨の時、どうしていましたか?」
「はい、わしたちは危ういところで島に逃れられました」
「そうでしたか、それはよろしゅうございました。ところでここへ来る途中、千石船(せんごくぶね→江戸時代、米を千石ほど積める大形の和船)を見かけませんでしたか?」
「いいや、見なかったですな。ですが今日、わしらのアミに若い男の死骸(しがい)がかかって、島にうめてきました」
「死骸ですと!」
「なにか、心当りでもありなさるのか?」
「実は、息子が大阪に千石船で米を積んで出て行ったのですが、そこへあの大雨。心配しているところです」
「そうじゃったか」
「ごめんどうをおかけしますが、わたしをその島へ連れて行ってもらえますまいか?」
 二人は旦那を乗せて、その島へ戻りました。
 うめた死骸をほり返してみると、旦那の顔から血の気が引きました。
「むっ、息子です」
 二人は死骸を乗せて再び港へ引き返し、立派な葬式(そうしき)にも立ちあいました。
「あなたたちには、すっかりお世話になりました。わたしの心からのお礼を港に用意しました。どうか受け取って下さい」
「いや、お礼なんぞいりません」
「いいえ、あなたたちは息子をていねいにうめて下さっただけでなく、持っていたお金も、そっくりそのままそえて下さっていた。その正直さに感銘(かんめい→感動)しました。どうぞ受け取ってやって下さい」
 あまりにも旦那が言うので受け取ることにしたのですが、旦那につれられて港へ行ってビックリです。
 なんと旦那が用意したお礼は千石船で、しかも米千石が積んであったのです。
 その上、死んだ息子がもっていた百両(ひゃくりょう→七百万円ほど)以上もの金もくれたのです。
 二人はたちまち大金持ちになり、嫁とおばあさんの待っている家へと帰っていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ピーターパンの日
きょうの誕生花 → やつで
きょうの誕生日 → 1950年 奈美悦子 (俳優)

きょうの新作昔話 → ハリセンボンになった嫁さん
きょうの日本昔話 → 三郎の初夢
きょうの世界昔話 →
きょうの日本民話 → 米問屋のお礼
きょうのイソップ童話 → ロバとニワトリとライオン
きょうの江戸小話 → おやのおん

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12月26日の日本民話 雨の小ぼうず

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12月26日の日本民話

雨の小ぼうず

雨の小ぼうず
京都府の民話京都府情報

 むかしむかし、京の都のある町に、新兵衛(しんべえ)というたいへん気のやさしい商人がいました。
 きものを売る店の主人でしたが、店のほうは息子にまかせて、今は気楽な隠居(いんきょ)の身です。
 好きなうたい(→能や狂言)のけいこに、せいを出す毎日でした。
 その日は、けいこにでかける夕がたになって、雨がふりだしました。
 新兵衛は雨のなかを、となり町までけいこにでかけました。
 けいこがおわったあとに、いつものように仲間たちであつまって、よもやまばなし(→せけんばなし)に花をさかせているうちに、いつのまにか夜がふけてしまいました。
「おや? もうこんな時刻でしたか」
 新兵衛はやっとこしをあげて、仲間の者たちとわかれると、一人だけはんたいの方角の道を家にかえっていきました。
 雨はしとしと、まだふりつづいており、道にはいくつも水たまりができて、ちょうちんの灯に光っています。
 その水たまりをよけながら、うたいの一せつを口ずさんで歩いていると、あるお屋敷の大きな門の下に白いものがみえました。
(はて。なんだろう?)
 ちょうちんの灯をむけながら近づいていくと、門の下に六つか七つばかりの男の子がしょんぼりとたって、足もとにおちる雨だれをみつめていました。
(こんな夜ふけに、この子はなにをしているんだろう?)
 きちんとした身なりをからすると、家のない子ではなさそうです。
 男の子は新兵衛と目があうと、はずかしそうにすぐに目をふせました。
 そして門の下から雨の中へとびだして、新兵衛の家の方向に歩きだしました。
「これこれ。待ちなさい。どこまでいくのじゃな? 雨にぬれてはからだに毒じゃ。ほれ、わたしのかさに入りなさい」
 新兵衛は、男の子のあとを追いました。
 男の子はぴたぴたと、水をふくんだぞうりの音をさせながら、ふりむきもせずに歩いていきます。
「わたしの家は、もうすぐそこだ。遠くまでいくのなら、わたしの家によりなさい。かさをかしてやろう。ひと休みしていきなさい」
 うしろから子どもにやさしく声をかけましたが、子どもがだまったままなので、今度はあれこれとおもいをめぐらしました。
(しょんぼりと門の下にたっていたが、べつにさびしそうな顔はしていなかったな、すると、どこかのお店でほうこうしていて、仕事がおわってからひまをもらったんだろう。これから親もとへかえるのかもしれない)
 そうおもうと、男の子がいじらしくなってきました。
 新兵衛も子どもの頃に苦労して、いまの立派な店を持つ事ができたのです。
「ほれ、ほれ。ぬれていないでお入り」
 新兵衛はかさをのばしながら、前を歩く男の子にいいました。
 男の子はあいかわらずだまって、ぴたぴたぞうりの音をさせています。
 新兵衛の頭のなかに、またちがったおもいがうかびました。
(待てよ。そういえば、雨だれをみつめていたあの目は、何かをおもいつめたような悲しそうな目だったぞ。きっと、この子の父親か母親が病気で、きゅうになくなってしまい、どこぞのお寺さんへでも知らせにいくところかもしれないぞ)
 そうおもうと、新兵衛はますます男の子の事が気がかりになってきました。
 自分の家はもうすぐそこで、大きなスギの木の下の茶屋のかどをまがれば、一丁(いっちょう→百メートル)ほどです。
 新兵衛はかさとちょうちんを、男の子にあたえようとしました。
「わたしの家は、あそこのかどをまがればもうすぐだ。このかさと明りを持っていきなさい。えんりょはいらないよ。ほれ」
 ぴたぴたとぞうりで水をたたきながら歩いていた男の子が、ようやくたちどまって、はじめてふりかえりました。
「・・・?!」
 新兵衛は思わず、いきをのみこみました。
 なんと男の子の顔には、たまごのような三つの目玉と大きな口しかありません。
 カエルのように首はなく、顔がからだとつながっています。
 そのバケモノが新兵衛をみて、ニヤニヤとわらったのです。
「うーん」
 新兵衛はそのまま、気をうしなってしまいました。
 それからしばらくして、新兵衛は正気にかえりました。
 水たまりの中からおきあがると、なげだしたかさとちょうちんがころがっています。
 あまりの事に、それをひろう気力もありません。
 新兵衛はぐっしょりと水をふくんだきものにおしつぶされそうになりながら、ふらふらと歩きだしました。
 よく朝、新兵衛はある大きなお寺の墓場のなかにたおれているところをみつけだされましたが、そのお寺は、新兵衛の家とはまったくはんたいの、山のふもとにありました。
 さいわいなことに、新兵衛はすぐに元気をとりもどしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロ野球誕生の日
きょうの誕生花 → せんりょう
きょうの誕生日 → 1961年 堤大二郎 (俳優)

きょうの新作昔話 → おしっこをかけられた神さま
きょうの日本昔話 → 夢見小僧
きょうの世界昔話 → 馬車で来た十二人のお客さま
きょうの日本民話 → 雨の小ぼうず
きょうのイソップ童話 → オンドリと宝石
きょうの江戸小話 → 火事の炭

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12月25日の日本民話 大蛇と戦った男

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12月25日の日本民話

大蛇と戦った男

大蛇と戦った男
熊本県の民話熊本県情報

 むかしむかし、天草(あまくさ→熊本県の天草市)のある村に、熊蔵(くまぞう)というお百姓(ひゃくしょう)がいました。
 熊蔵は背の高い大男で、大変な力持ちです。
 ある日の事、熊蔵が村はずれの谷間にある畑にこやしをまいていると、山から六、七メートルもある大蛇(だいじゃ)がはいだしてきました。
 大蛇は真っ黒な舌をペロペロとだし、まっすぐ熊蔵にむかってきました。
 熊蔵は畑や家の庭先などで小さなヘビをいじめたりしているので、親分がうらみをはらしにきたのかと思いました。
 熊蔵はあわてて逃げようとしましたが、畑の土に足をとられて、思うように逃げられません。
 近づいてきた大蛇が熊蔵に大きな口を開けたとき、熊蔵はこやしのおけをかついできたてんびん棒をふりあげて、むかってきた大蛇を何度もたたきました。
 ところがいくらてんびん棒で打ち付けても、鉄か石をうったような音がするだけで、大蛇にはまるで通じません。
 熊蔵はてんびん棒を放り投げると、大蛇にいいました。
「まて、まて。ちょっとまて。おらには親もあれば兄弟もおる。これから家へ帰って、いとまごい(→別れのあいさつ)をしてくる。それから死ぬか生きるかの勝負だ。必ず戻ってくるから、お前はここでまっていろ。いいか、ぜったいに逃げるなよ」
 大蛇は熊蔵の言葉がわかったのか、ひと休みするように、その場で長いからだをクルクルと巻いて、大きなとぐろを作りました。
 さて、熊蔵は走って家に帰ると、大蛇のことを大声で口走りながら、を手にして畑へひきかえしていきました。
 近所の人たちも、カマや棒切れを持って熊蔵のあとを追っていきます。
 ところが畑についてみると、大蛇の姿は消えていたのです。
「おい熊蔵。大蛇はどこにおるんじゃ?」
「お前、ねぼけておったんじゃねえのか?」
 はりきってやってきた者たちは、残念そうな顔をしていいました。
「おかしいな。キツネかタヌキに化かされたかな?」
 ですが、山のかげから畑までの草木はなぎたおされており、大蛇が畑に現れたあとだけは、はっきりと残っていたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → スケートの日
きょうの誕生花 → クリスマスホーリー
きょうの誕生日 → 1961年 栗原景子 (俳優)

きょうの新作昔話 → 百七十歳の九尾キツネ
きょうの日本昔話 → ネコと茶がまのふた
きょうの世界昔話 → クリスマスの鐘
きょうの日本民話 → 大蛇と戦った男
きょうのイソップ童話 → 満腹したオオカミとヒツジ
きょうの江戸小話 → まんぞく

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12月24日の日本民話 生けどられたカミナリ

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12月24日の日本民話

生けどられたカミナリ

生けどられたカミナリ
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、赤須賀(あかすが)という漁夫(ぎょふ)の町へ、大雨とともに赤い体の大きなカミナリが、ドスンと井戸の中へ落ちてきました。
 そこにいた村人がビックリして、何が落ちてきたんだろうと思い、井戸の中をのぞいてみてみるとカミナリが、
「たすけてくれー」
と、泣いているのでした。
「たすけてくれだと、なにをいうか! 人の家をなんども焼いているくせに!」
と、いって、村人は井戸にふたをしてとじこめてしまいました。
 さすがのカミナリも、これにはまいってしまい、大声を出して何度も頼みました。
「おねがいだ。どうかふたをあけてくれ。おねがいだ」
「よし、ふたをあけてやるから、そのかわりに何かいい物を残して行け」
 村人がいうと、カミナリは、
「今は何一つ持っていないから、背中につけている太鼓(たいこ)を井戸に入れておく。それからこの井戸には、一年中水がきれないように、たくさんの水を入れておくから」
と、いいました。
 そしてカミナリは、空へ飛んで行くときに、
「ありがとうございました。これからはこの土地へは二度とカミナリを落としませんから、どうぞご安心のほどを」
と、いって、かたく約束しました。
 それからはその井戸の水がきれたことがなく、また、年中太鼓の音が井戸の中からひびいて来るという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → クリスマスイブ
きょうの誕生花 → やどりぎ
きょうの誕生日 → 1968年 藤崎あや (歌手)

きょうの新作昔話 → カニの甲羅の毛
きょうの日本昔話 → サルとヒキガエル
きょうの世界昔話 → 3つの願い
きょうの日本民話 → 生けどられたカミナリ
きょうのイソップ童話 → 猟師とライオン
きょうの江戸小話 → とり目

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12月23日の日本民話 とけてしまった雪ん子

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月23日の日本民話

とけてしまった雪ん子

とけてしまった雪ん子
青森県の民話青森県情報

 むかしむかし、ある雪国に、おじいさんとおばあさんがいました。
 二人には子どもがいなかったので、お宮さんにおまいりして、
「なんとか、わしらにも子どもをさずけてください」
と、お願いしたのです。
 すると、二人の夢の中に神さまが現れて言いました。
「そなたたちの願いを聞き入れよう。女の子をさずけるから、雪で人形をつくるがよい」
 次の朝、おじいさんとおばあさんは大喜びで庭へ出ると、さっそく雪で人形をつくりました。
 頭はおかっぱ(→前髪を切り下げ、後髪をえり元で切りそろえた、少女向きの髪型)で、目がクリクリと大きな、とてもかわいい人形です。
「よし、かわいい人形が出来た。こんな娘が、本当にいてくれたらなあ」
「そうですね。雪人形でなく、本当の娘だったら」
 二人が雪人形をながめていると、人形がスーッと消えて、そのかわりに雪人形そっくりの、かわいい女の子が現れたのです。
 女の子は二人を見て、ニッコリとわらいました。
「おおっ、本当の女の子だ。神さまが願いをかなえてくれたんじゃ」
「ありがたい、ありがたい」
 おじいさんとおばあさんは女の子をだきかかえるようにして、家につれていきました。
 見れば見るほどかわいく、それに心のやさしい女の子で、おじいさんとおばあさんを、
「お父さん、お母さん」
と、よんでくれるのです。
 二人はこの女の子に雪ん子という名前をつけて、それはそれは大切に育てました。
 ところがどういうわけか、女の子はあたたかいのが大嫌いで、おじいさんやおばあさんがいろり(→地方の民家などで、床ゆかを四角に切り抜いてつくった暖房のためのもの)にあたれと言っても、
「おら、寒いところがええ。暑いところはいやじゃ」
と、言うのです。
 それにごはんもみそしるも、冷たくなってからでないと食べません。
 それでも、雪ん子はかぜ一つひかないので、二人は、
「ほんに雪ん子は、名前のように元気な子じゃのう」
と、言って、あきれるやら感心するやら。
 ところがある時、近所の子どもたちが一緒に遊ぼうと、雪ん子をさそいにきました。
 雪ん子は、遊びに行くのを嫌がりましたが、
「雪ん子や、家にばかりいないで、たまにはみんなと遊んでおいで」
と、おばあさんに言われて、しかたなく出かけました。
 さて、近所の子どもたちは、雪ん子をたき火のそばへつれていきました。
 あたたかいのが大嫌いな雪ん子を、みんなでからかってやろうというのです。
「雪ん子、火にあたれ」
「そうだ。もっと火のそばへ行け」
 子どもたちは嫌がる雪ん子をつかんで、たき火のそばへおしつけました。
「いや! あついのはいや!」
  嫌がる雪ん子の体から、氷のように冷たい汗が流れました。
そのとたん、ジューッという音がして、雪ん子は消えてしまいました。
「あっ、雪ん子がいなくなった」
 子どもたちはビックリして、たき火を見つめましたが、小さくなったたき火の上に、白い湯気(ゆげ)がけむりのように立ちのぼっているだけです。
 かわいそうに、雪から生まれた雪ん子は、火にとけてしまったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → テレホンカードの日
きょうの誕生花 → オリーブ
きょうの誕生日 → 1978年 矢田亜希子 (俳優)

きょうの新作昔話 → サル酒
きょうの日本昔話 → アリとあんこ
きょうの世界昔話 → みそさざいとクマ
きょうの日本民話 → とけてしまった雪ん子
きょうのイソップ童話 → ツグミ
きょうの江戸小話 → 貧乏浪人

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12月22日の日本民話 娘の知恵でサル退治

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月22日の日本民話

娘の知恵でサル退治

娘の知恵でサル退治
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、伊勢の国(いせのくに→三重県)におじいさんとおばあさんと娘三人がすんでいました。
 その娘の名は睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)といい、三人とも、花もはじらう美人です。
 さて、ここから三里(さんり→約12キロ)はなれた山奥には、山の主といわれる大ザルが住んでいました。
 大ザルはいつのまにか、この娘たちが好きになりました。
 そして大ザルは山からおりて来ると、おじいさんとおばあさんにむかって、
「三人の娘さんのうち、誰でもよいからわしの嫁にくだされ、もしもいやなら、その場で一家五人を食い殺してしまうぞ!」
と、言うのです。
 おじいさんとおばあさんはガタガタとふるえながら、仕方なく、姉(あね)の睦月(むつき)を呼んで言いました。
「睦月よ、お前、あの大ザルのところへ嫁に行ってくれないかのう」
 すると娘は、ブルブルとふるえながら、
「どうかゆるして下さい。あんな恐ろしい大ザルのところへ嫁に行くのだけは」
 こまったおじいさんとおばあさんは、次に如月(きさらぎ)を呼び、
「如月よ、あの大ザルのところへ嫁に行かないか」
「姉上さまさえこわくていけないのに、私はごめんいたします」
 おじいさんとおばあさんは仕方なく、末娘の弥生(やよい)を呼んで言いました。
「弥生よ、姉さま二人はいやだといっているのだが、お前はどうかな?」
と、聞くと、弥生は言いました。
「どうぞご安心(あんしん)下さい。嫁には私がまいります」
 おじいさんとおばあさんはかわいそうに思いながらも、一家五人が食われてしまうよりはいいだろうと考え、入口で待っていた大ザルに、
「三番目の弥生をお前にやることにしたが、いろいろ仕度(したく)もあるので、五日ほど待ってもらいたい。五日たったらむかえにきて下され」
と、言いました。
「よし、では五日たったらこよう」
 大ザルはよろこんで帰っていき、五日目の朝、三里の山道をキーキーいいながら来ました。
 きれいな花嫁衣装を着た弥生が出ると、大ザルはその美しさにただ見とれるだけです。
 弥生は大ザルにあいそ笑いをしながら、涙を流す二人の姉に小声で言いました。
「きっと帰って来るから、待っててね」
 弥生は大ザルと一緒に山をこえて、川をわたり、森をぬけましたが、なかなか大ザルの家には着きません。
 でも夜中になって、やっと大ザルの家に着くと、大ザルはニコニコ顔で掃除(そうじ)をしたり、朝ごはんを作ったりしました。
 やがて朝が来たので、弥生は大ザルの作ってくれた朝ごはんを食べながらいいました。
「私は、あなたのところへお嫁に来てとっても幸せです。私の喜んでいる姿を家の人に見せたいので、一緒にいきませんか?」
「ああ、いいよ。かわいいお前のためだ。さっそく行くとしよう」
と、急いでしたくをする大ザルに、弥生が言いました。
「親の家に行くのだから、じいさまとばあさまの大好物のおもちを、ひと臼(うす)ついて持っていきたいのです」
「よし、わかった。かわいいお前のためだ。さっそくつくとしよう」
 大ザルは、ペッタン、ペッタンと、おもちをついてくれました。
「さあ出来た、この重箱(じゅうばこ)に入れていこう」
「じいさまとばあさまは、重箱のにおいがきらいなのです」
「そうか。では、どんぶりに入れていこう」
「じいさまとばあさまは、どんぶりのにおいが大きらい。臼のまま背負っていきましょう」
 そこで大ザルは臼を背負って、山道を下りはじめました。
 途中、がけの上のほうに大きな美しい桜の木が、今を盛りとさいています。
「あなた。じいさまとばあさまは桜の花が大好きだから、一枝とって下さいな」
「ああ、木登りはまかせてくれ」
 木登りが得意な大ザルは、臼を背負ったまま木登りをはじめ、サクラの枝に手をかけると、
「それではなく、もっと先のをおって下さいな」
「それなら、この枝か?」
「いやいや、もっと先のをおって下さいな」
「では、この枝ではどうじゃ?」
「いやいや、もっと先のをおって下さい。一番てっぺんの、あの枝をおって下さいな」
「よし、わかった」
 大ザルはどんどん上に登り、とうとうてっぺんの枝に手をかけたとき、
 ポキリ!
 足もとの枝がおれてしまい、大ザルは重い臼を背負ったまま谷底ふかくまっさかさまに落ちてしまい、臼の下じきになって死んでしまいました。
 弥生は急いで、おじいさんとおばあさんと二人の姉さんの待っている家に帰りました。
 みんなは手に手をとって大喜びで、もとのように仲よくくらしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → シーラカンスの日
きょうの誕生花 → セントポーリア
きょうの誕生日 → 1966年 國生さゆり (俳優)

きょうの新作昔話 → 大力次郎
きょうの日本昔話 → ブラブラたろう
きょうの世界昔話 → うかれヴァイオリン
きょうの日本民話 → 娘の知恵でサル退治
きょうのイソップ童話 → シャコと人間
きょうの江戸小話 → はだか

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12月21日の日本民話 かほうは、ねてまて

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月21日の日本民話

かほうは、ねてまて

かほうは、ねてまて
長崎県の民話長崎県情報

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
 ひどい貧乏でしたが、二人とも心のやさしい人です。
 あるお正月の朝、目をさましたおじいさんが、おばあさんに言いました。
「おら、いい夢を見た。うらの畑に大きな木があるだろ。その木の根元をほっていたら、小判のどっさりつまったつぼが出てきてな。うれしやと思ったら、目がさめた」
 それを聞いたおばあさんは、
「それじゃ、早くほりに行きましょう。むかしからお正月に見る夢は、『初夢(はつゆめ)』といって、本当の事だといいますよ」
と、言って、急いで起きようとしました。
 すると、おじいさんが言いました。
「これこれ、そんなにあわてちゃいけない。むかしから、『かほう(→幸運)はねて待て』と、いうじゃないか」
「それもそうですね。それじゃ、ゆっくりねていましょか」
 おばあさんは、またねどこにもぐりました。
 ところがこの時、家の前を通りかかった、となりのよくばりじいさんが、二人の話を聞いていました。
(しめしめ、いいことを聞いたぞ)
 よくばりじいさんは、さっそくクワを持って畑のところへ行きました。
 大きな木の根元をほってみると、どうでしょう。
 本当につぼが出てきたのです。
「ありがたい、ありがたい」
 よくばりじいさんは大喜びでつぼをかかえて、自分の家にもどりました。
 ところがふたを取ってみると、中は石ころだらけで、いくらさがしても、小判なんか一枚も出てきません。
(あのじじいめ。よくもだましやがったな!)
 よくばりじいさんはすっかり腹をたてて、そのつぼをかかえてとなりのおじいさんの家に行き、
「この、うそつきじじい!」
と、言うなり、まどから家の中へ投げ込んだのです。
 ドッスン!
 おじいさんとおばあさんは、ビックリしてとびおきました。
 音のした方を見てみると、家の中につぼが転がっています。
「だれがこんなことを」
 言いながらつぼのふたを取ってみると、なんとピカピカの小判がどっさりとつまっていたのです。
 おばあさんは、大喜びで、
「やっぱり、おじいさんの夢は本当だったのですね」
と、言いました。
 すると、おじいさんもニコニコして、
「ほら、かほうはねて待てば、むこうからやってくるんだ」
と、言いました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 遠距離恋愛の日
きょうの誕生花 → プロテア
きょうの誕生日 → 1979年 吉川ひなの (俳優)

きょうの新作昔話 → 出石乙女(いずしおとめ)
きょうの日本昔話 → かさ売りお花
きょうの世界昔話 → ほらふき男爵 寒い冬の大グマ退治
きょうの日本民話 → かほうは、ねてまて
きょうのイソップ童話 → キツネとワニ
きょうの江戸小話 → 雪女

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12月20日の日本民話 峠の一本足

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月20日の日本民話

峠の一本足

峠の一本足
奈良県の民話奈良県情報

 むかしむかし、十津川(とつかわ)の奥の伯母子岳(おばこだけ)という山の峠(とうげ)に、人間を食べる『一本足』というバケモノが現れて、峠の道を通る人たちをおそうようになりました。
 ある時の事、高野山(こうやさん)の西にすむ猟師が、山の峠(とうげ)で美しい娘を見かけました。
「娘がこんなところに一人でおるとは、奇妙な事じゃ。これは、バケモノかもしれんぞ。このあたりには一本足ばかりか、ほかにもバケモノがすむようになったのかもしれん」
 自分にそういいきかせて、猟師は鉄砲(てっぽう)の引き金に指をかけていました。
 そのとき、むこうのやぶの中に立っている娘が猟師を見て、ニヤリと笑ったのです。
 猟師はおそろしくなり、思わず鉄砲の引き金をひきました。
 ズドーン!
 でも娘は笑いながら、飛んできた鉄砲の玉を、両手の手のひらでピタリとうけとめたのです。
「このバケモノめ!」
 猟師はつづけて、もう一発うちましたが、娘はその玉も両手でうけとめると、猟師の方へとせまってきました。
「まっ、待ってくれ。あと十日、いや、七日だけでいい、わしの命を取らないでくれ。お願いだ」
 猟師が泣きながらたのみこむと、娘のバケモノは、だまってやぶの中へ消えていきました。
 猟師がその後ろ姿を見ると、なんと一本足ではありませんか。
 峠の一本足が、美しい娘に化けてでてきたのです。
 猟師は家に帰ると、村の守り神をまつる神社に毎日でかけて、いのりつづけました。
 すると六日目のこと、神さまからお告げがあったのです。
「玉を二つ、一緒に鉄砲にこめてうて」
 娘のバケモノと約束した七日目の朝、猟師はバケモノと出会った峠へいきました。
 まわりを見まわすと、やぶの中に、また娘に化けている一本足の姿が見えました。
 猟師が鉄砲をかまえると、
「あはははは。鉄砲なんて、無駄よ」
 娘はそう言うと、この前と同じようにニヤリと笑っています。
「やってみないとわかるもんか! いくぞ!」
 ズドーン!
 猟師が引き金をひくと、娘は飛んできた玉を両手でピタリとうけとめましたが、続けて飛んできた二発目の玉はうけとめられず、その場にたおれてしまいました。
 今度はバケモノが、
「助けてくれ!」
と、いう番でした。
「人の命をとらないと約束するなら、助けてやるが」
 猟師がいうと、バケモノは、
「だが、人間の命をとらねば生きてはいけぬ。だから、一年のうち、十二月二十日だけは、ここを通る者の命をもらいたい」
と、いったのです。
 猟師は一年で一日だけならゆるしてもいいと思い、バケモノの願いをききいれることにしました。
 すると美しい娘の姿は消えて、一本足のバケモノはうれしそうにピョンピョンとはねながら、やぶの中へ消えていったという事です。
 今でも十二月二十日は「果ての二十日」といって、山に入る事を禁じている地方があるそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 霧笛記念日
きょうの誕生花 → アイビー
きょうの誕生日 → 1969年 荻原健司 (スキー)

きょうの新作昔話 → 日切り地蔵
きょうの日本昔話 → 虫干し
きょうの世界昔話 → 心臓を持たない巨人
きょうの日本民話 → 峠の一本足
きょうのイソップ童話 → 鳥刺しと野生のハトとかわれているハト
きょうの江戸小話 → 柱という字

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12月19日の日本民話 ウメの実になったお化け

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月19日の日本民話

ウメの実になったお化け

ウメの実になったお化け
福岡県の民話福岡県情報

 むかしむかし、あるところに、バケモノ屋敷(やしき)といわれる家がありました。
 おそろしいお化けが出るというので、日がくれるころにはだれも近よるものがいません。
 ところが、このうわさを聞いたお侍(おさむらい)が、
「何と情けない。お化けぐらい。わしが退治してくれよう」
と、言って、お酒の入ったひょうたんを腰にぶら下げて、日がくれるのを待ってバケモノ屋敷へ出かけました。
 長いこと人が住んでいないので、庭には人間の背丈(せたけ)ほどもある草がはえて、ザワザワと風にゆれています。
 雨戸(あまど)はやぶれて、床のあちこちが抜け落ち、天井はクモの巣だらけです。
 普通の人なら逃げ出すでしょうが、さすがは勇気のあるお侍、一番広い座敷(ざしき)のまん中に座ると、腰のひょうたんをはずして、チビリチビリとお酒を飲みはじめました。
 でも、いつまでたってもお化けが出てきません。
「何をグズグズしておるのだ。早く出てこい!」
 お侍がどなりましたが、物音一つ聞こえません。
 そのうちにだんだん夜がふけて夜中になると、どこからともなく生あたたかい風がふいてきて、
 ヒューーー、ドロドロドロドロー。
と、一つ目小僧が現れたのです。
 長い舌を出したり引っこめたりしながら、お侍のまわりをゆっくりまわります。
 でも、お侍は平気です。
「なんだ、一つ目小僧など、ちっともこわくない。もっとこわいお化けはいないのか?」
 すると今度は、口が耳までさけて、キバをむきだしたお化けが出てきました。
「何だ、まるでツノのないオニだな。ツノがなくてはこわくないぞ」
 お侍がからかうと、今度は本物のオニが出てきました。
「ほほう。少しはマシになったが、オニなどめずらしくもなんともない」
 それを聞いて、ろくろ首、カラカサお化け、大入道などが、次々と出てきました。
 それでもお侍は、平気な顔で、
「ただ出てくるだけでは芸がない。みんなでおどれ、おどれ」
と、言いました。
 こまったお化けたちは、しかたなく、いっせいにおどりはじめました。
「いいぞ、いいぞ」
 お侍はお酒を飲みながら、うれしそうに声をかけました。
 そのうちに、お化けたちの姿が消えて、座敷一面に花がさきました。
 ウメやモモやサクラの花がかさなるように広がり、まるでお花見をしている気分です。
「こいつは、きれいだな」
 さすがのお侍も、その美しさには目をみはりました。
 ちびりちびりお酒を飲んでいるうちに、お酒のさかながほしくなりました。
 そこで、
「何か、酒のさかなになるようなものを出してくれないか。たくあんでも、ウメボシでもいいんだが」
と、言いました。
 すると美しい花がパッと消えて、小さなウメの実になってころがりました。
 お侍は、そのウメの実をすばやく口に入れるると、
 ガリガリッ
と、かみくだいて、お酒といっしよに飲みこんでしまったのです。
 そんなことがあってから、この屋敷にはもう二度と、お化けが出なくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 日本初飛行の日
きょうの誕生花 → くろがねもち
きょうの誕生日 → 1973年 反町隆史 (俳優,歌手)

きょうの新作昔話 → 畳石の一ぱい水
きょうの日本昔話 → どろくをかついで
きょうの世界昔話 → 悪魔の花よめにされた娘
きょうの日本民話 → ウメの実になったお化け
きょうのイソップ童話 → おなかのすいたイヌたち
きょうの江戸小話 → お説教

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12月18日の日本民話 子うみ石

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12月18日の日本民話

子うみ石

子うみ石
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、ある村の道ばたに、どうやっても動かせない大きな石がありました。
 いつの頃からか夜になると、その大きな石が化けて出るというので、誰ともなくこの石を《化け石》と呼ぶようになり、誰も夜はその道を通らなくなりました。
 でもある時、となり村まで用足しに行った庄屋(しょうや)さんが、村へ帰るのにどうしても化け石の一本道を通らなければならなくなりました。
「うむ。こわいが仕方がない」
と、庄屋さんがこわごわ通り抜けようとすると、
「お願いします。助けて下さい」
「お願いします。助けて下さい」
と、うしろから女の人の声が聞こえるのです。
「ひぇー! だっ、誰だ?」
 庄屋さんがビックリしてふりかえると、あの化け石が女の声で、
「私は、化け石と呼ばれる女石(おんないし)です。私にはまもなく子どもが産まれますが、腹がすいて困ってます。何か食べるものをめぐんで下さい」
と、いったのです。
「おおっ、そうか。少し待っていろ」
 かわいそうに思った庄屋さんは、急いで家に帰ってごはんをたき、にぎりめしをたくさん作って化け石のそばに持っていきました。
 すると化け石から手が出てきて、にぎりめしをたちまち食べてしまったのです。
 やがておなかがいっぱいになった化け石は、おにぎりぐらいの石を取り出して、
「お礼にお持ち下さい。この石はあなたの家をいつまでもはんじょうさせる子産石(こうみいし)です」
と、いうと、黒々としたふつうの石にもどりました。
 庄屋さんの家は、それからいつまでも栄えました。
 そしてまつっておいた子産石が、本当に子石(こいし)を産む事があったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 国連加盟記念日
きょうの誕生花 → もみ
きょうの誕生日 → 1966年 江角マキコ (俳優)

きょうの新作昔話 → 命乞いに来たコイ
きょうの日本昔話 → イワナの坊さま
きょうの世界昔話 → カンチールとバナナ
きょうの日本民話 → 子うみ石
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きょうの江戸小話 → 大蛇

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12月17日の日本民話 谷ぞこのわらい声

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月17日の日本民話

谷ぞこのわらい声

谷ぞこのわらい声
高知県の民話高知県情報

 むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)の山あいの村に、佐市(さいち)という猟師(りょうし)がいました。
 若者にしては度胸(どきょう)がすわっており、佐市はいつもたった一人で猟(りょう)にでかけていくのでした。
「佐市や。獲物はこのあたりにもいくらでもいるんだ。わざわざ深い山に行くこともねえ。あんまり山の奥に行くとバケモノが出てきて、食われてしまうぞ」
 村の人に、そういわれると、
「はん。この世にバケモノなどいるものか。もしも出てきたら一発でしとめてやるから、楽しみに待っているんだな」
 佐市はそういいながら、鉄砲をかついで猟にでかけていくのでした。
 ある年の夏の事です。
 深い山奥に入った佐市は、あたりに気をくばりながら獲物をさがしていました。
 すると風もないのに、山の木々がさわぎだしました。
 木々がはげしくゆれ動きながら、走ってきます。
 なにか大きな生き物が木々をゆすりながら、山すそをおりてくるみたいです。
 こんな不思議なものをみるのは、はじめてです。
 佐市は足をとめて、ジッと見つめていました。
 やがて木々のざわめきは、深い谷ぞこへむかって消えていきました。
 あとはまた、シーンと静まりかえっています。
「はて、いまのは、なんだろう? つむじ風なら木の葉がたくさん空へふきあがるはずだが、まったく静かなものだった)
 佐市は鉄砲をかたにのせながら、また歩きだしましたが、しばらくすると今度は谷間のそこから、わらい声がきこえてきました。
 その声は、一人の声ではありません。
 何十人もの男がいっせいにわらうような、とても大きな声でした。
「こんな山奥へ、猟の仲間たちがやってくることはないはずだが」
 不思議に思った佐市は、男たちのわらい声がわきあがった谷間のそこへ、おりてみることにしました。
 やぶをかきわけて、岩をつたっておりていくと、話し声がきこえてきます。
 あたりは、だんだんくらくなってきます。
 足もとに気をくばりながら、佐市はやっと谷間のそこへおりました。
 すると、話し声のするむこうの谷川の大岩に、大きな物が腰をかけて、足をブラブラさせていました。
 それは二メートルをこえる、大入道です。
 いえ、大きいだけではなく、頭は八つで、その八つの顔が、うすぐらい谷間のそこでフワフワと動いていて、話しをしながら笑っているのです。
 さすがの佐市も、あまりのおそろしさにガタガタとふるえていました。
 そのふるえに気づいたのか、バケモノの八つの顔が、いっせいに佐市のほうを見つめたのです。
「そこにかくれておるのは、だれだ!」
 佐市は鉄砲をかまえると、夢中で引き金をひきましたが、八つの顔はヒョイと首をのばして、鉄砲の玉をよけてしまいました。
 佐市は続けて鉄砲をうちましたが、何発うってもあたりません。
 とうとう玉は、最後の一発です。
「これが最後の一発か。たのむぞ」
 佐市は鉄砲をかまえると、八つの顔のバケモノが岩の上にたちあがったのです。
 そのとき、バケモノの着物の間から、大きなへそが見えました。
 佐市はへそにねらいをつけると、最後の一発を放ったのです。
「ウギャアー!」
 ものすごい声をあげて、バケモノは岩の上から谷川へころげおちていきました。
 しばらくようすをうかがっていた佐市が谷川へでてみると、不思議な事に、バケモノの体はパラバラになって、水にとけていったのです。
 佐市は村の人たちに見せてやろうと、バケモノの頭を一つ取り上げました。
 けれども、一度水につかったバケモノの首は帰る途中でとけてしまい、残ったのは三十本ばかりの赤い髪の毛だけだったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ライト兄弟の日
きょうの誕生花 → ベゴニア
きょうの誕生日 → 1971年 牧瀬里穂 (俳優)

きょうの新作昔話 → 佐野の舟はし
きょうの日本昔話 → 青テングと赤テング
きょうの世界昔話 → あわれな悪魔
きょうの日本民話 → 谷ぞこのわらい声
きょうのイソップ童話 → ウシと野生のヤギ
きょうの江戸小話 → るす

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12月16日の日本民話 ぐつとカラス

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月16日の日本民話

ぐつとカラス

ぐつとカラス
長野県の民話長野県情報

 むかしむかし、ある村に、ぐつという名の男の子がいました。
 ある日、おばあさんがぐつにいいました。
「今日はな、じいちゃんの命日(めいにち)だで、お坊さんにお経をあげてもらうんだ。ぐつや、となり村まで行ってお坊さんをよんできとくれ」
「お坊さんって、どんなの?」
 この村にはお寺がなかったので、小さいぐつはお坊さんがわかりません。
「そうさな、お坊さんは、黒い着物をきていなさる」
「ふーん、黒いきものか」
 ぐつはすぐに、出かけていきました。
 そして田んぼまでいったら、かかしにカラスがとまっています。
 見てみると、カラスはみんな黒い色をしています。
「あっ、あれだな、あれがお坊さんだ。おーい、お坊さーん、うちへきとくれよ」
 ぐつが大声でよぶと、カラスはビックリしてどこかへ飛んでいってしまいました。
 せっかく見つけたお坊さんに逃げられてはならないと、ぐつがカラスを追いかけると、カラスはとなり村のお寺の森へいって、どこかにかくれてしまいました。
 追いかけてきたぐつが、
「お坊さん、出て来い」
と、呼んだら、お寺の本堂から本物のお坊さんが出てきて、
「お坊さんはわしじゃが、なんの用かな?」
と、ぐつにたずねました。
「ああ、お坊さんて、人間だったのか」
 ぐつはビックリしましたが、なんとかお坊さんにわけを言って、家に一緒に来てもらいました。
 いつもはぐつをしかってばかりのおばあさんですが、今度ばかりは「いい子だ」とほめてくれたのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 電話創業の日
きょうの誕生花 → ブバルディア
きょうの誕生日 → 1976年 辺見えみり (タレント)

きょうの新作昔話 → カメの恩返し
きょうの日本昔話 → キツネとタニシ
きょうの世界昔話 → もみの木
きょうの日本民話 → ぐつとカラス
きょうのイソップ童話 → お百姓さんとワシ
きょうの江戸小話 → ダイコン売り

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12月15日の日本民話 あどけない目

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月15日の日本民話

あどけない目

あどけない目
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸(えど→東京都)の本所(ほんじょ)のいろは長屋に、二人の浪人(ろうにん)がとなりあわせにすんでいました。
 一人は榎左門(えのきさもん)といって、七つになる一人娘と、わびしくくらしていました。
 となりの浪人は、林田重三郎(はやしだじゅうざぶろう)といって、妻と二人ぐらしでしたが、妻から毎日のように、はやく仕官(しかん→役人になること)するようにと、せめられていました。
 さて、ある日の事、二人に仕官の声がかかってきたのです。
 でもそれは、殿さまの御前(ごぜん→位の高い人の前)で試合をして、勝った方だけをめしかかえるというものでした。
 これをきいた重三郎(じゅうざぶろう)の妻は、大喜びです。
と、いうのも、夫は、となりの左門(さもん)よりもずっと強いからです。
「これはどう見ても、あなたさまの勝ちでございますね」
「うむ」
 重三郎(じゅうざぶろう)は、左門(さもん)の腕前が自分よりもおとっているのをよく知っていましたが、試合の日まで、ただひたすらけいこをつづけていました。
 さて、いよいよ試合の日。
 重三郎と左門は、木刀をとって殿さまの御前でむかいあいました。
 重三郎は自分の勝利を確信しており、左門は勝ち負けにこだわらず、全力をつくそうと心にきめていました。
 でも試合の結果は、人々の予想とは反対に、左門の勝ちだったのです。
 心のやさしい左門は、
「友だちでありながら、このような事になって・・・」
と、重三郎に頭を下げました。
 しかし、負けた重三郎は左門がにくくてたまりません。
 そしてそのあげく、大変な事を考えついたのです。
(そうだ。左門がなにより大事にしている、あの一人娘を殺してやろう)
 そして左門のるすをねらって重三郎は娘をつれだすと、人気のない森の中へ連れ込みました。
「おとうさまが、森のむこうで待っているの? おじさま」
 たずねる娘に重三郎はを抜くと、いきなり小さな娘の両腕を切り落とし、そしてむねに刀を突き刺すと、知らん顔で長屋にかえってきたのです。
 ところが、家に入ったとたん、
「あっ!」
と、さけびました。
 なんと自分の妻が、血まみれになって倒れているのです。
 それもちょうど、自分が娘にやったように両手を切り落とされて、むねを刀でつきさされているのです。
 重三郎は妻殺しの罪で、その日のうちにとらえられました。
 そして刑場(けいじょう)へひかれていく途中、重三郎は目を疑いました。
 大勢の人だかりの中に、父親の左門に手をひかれて、あの娘が自分を見あげているのです。
「ああ、おれはなんとあさましい事をしたのだ。人をうらむと、それは自分にかえってくるのか」
 重三郎は処刑される前に、そういったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 観光バス記念日
きょうの誕生花 → オキザリス
きょうの誕生日 → 1964年 高橋克典 (歌手)

きょうの新作昔話 → たばこのおかげ
きょうの日本昔話 → うり子姫
きょうの世界昔話 → 3匹のヤギのガラガラドン
きょうの日本民話 → あどけない目
きょうのイソップ童話 → ごましお頭の男と女たち
きょうの江戸小話 → ふぐ汁

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12月14日の日本民話 お坊さんにばけた古ダヌキ

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月14日の日本民話

お坊さんにばけた古ダヌキ

お坊さんにばけた古ダヌキ
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、あるいなかのお寺に、一人のお坊さんがやってきました。
 京の都からやってきた、りっぱなお坊さんだというので、お寺には村中の人たちが集まりました。
「きっと、ありがたいお話を聞かせてくださるにちがいない」
「おとなしく聞かないと、ばちがあたるぞ」
 村人たちはお堂の中にならんで座ると、お坊さんが出てくるのを、今か今かと待っていました。
 やがて一人のお坊さんが出てきて台の上にあがり、仏さまのお話を始めました。
 ところが不思議な事に、お坊さんの耳がピクピクと動くのです。
 ちょうどそこヘ、村の宿屋にとまっている猟師が、
(京から来たというのは、どんなりっぱなお坊さんだろう?)
と、思って、お寺へやってきました。
 猟師はしょうじに指で穴をあけると、そっとお堂の中をのぞきました。
 見た感じはとてもりっぱなお坊さんですが、お坊さんの耳がピクピク、ピクピクと、動物のように動くのを見て、猟師はビックリしました。
 もう一度よく注意してお坊さんを見てみると、ときどき顔の上にも、スーッと毛がはえるのです。
(こいつは、きっと)
 猟師はこっそりお寺をぬけだすと、急いで宿屋にもどり鉄砲を持ってきました。
 しょうじの穴から鉄砲の先をさし込むと、お坊さんにねらいをつけて、
 ズドーン!
と、撃ちはなったのです。
 そのとたん、お坊さんは台の上から転がり落ちました。
「だれだ! 鉄砲を撃ったのは!」
 お堂の中は、大変なさわぎです。
「何て事をするのだ! お前は頭でもおかしくなったのか!」
「よりにもよって、お坊さんを撃つなんてゆるさん!」
 みんなはいっせいに、猟師をとりかこみました。
「ま、待て!」
 猟師が、言いました。
「あいつはお坊さんなんかじゃない。人をだまして食い殺す、おそろしい古ダヌキだ。うそだと思うのならよく見てみろ」
 そう言われて村の人たちは、いっせいにお坊さんのところへかけよりました。
 胸を撃たれたお坊さんが、あおむけになって死んでいます。
「何が古ダヌキだ。まちがいなく、りっぱなお坊さんだ」
「いや、まちがいなく古ダヌキだ。朝までにはきっと正体をあらわすはず。万一、本当のお坊さんであったなら、わしをどんな目にあわせてもかまわん」
 さてそのうちに、だんだんと夜が明けてきました。
 すると、どうでしょう。
 お坊さんの足先から、けもののような毛がはえてきて、みるみるうちに体中が毛だらけになりました。
 そしてニワトリが鳴き出したころには、まるまるとふとった古ダヌキの姿に変わったのです。
「なんと。猟師のいうとおりだ」
「この人がいなかったら、みんなどんな目にあわされていたかもしれないぞ」
 村人たちは死んでいる古ダヌキを見て、ホッと胸をなでおろしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 赤穂浪士討ち入りの日
きょうの誕生花 → つるうめもどき
きょうの誕生日 → 1948年 錦野旦 (スター)

きょうの新作昔話 → かくれ蓑(みの)
きょうの日本昔話 → ネコとネズミ
きょうの世界昔話 → クモとリス
きょうの日本民話 → お坊さんにばけた古ダヌキ
きょうのイソップ童話 → ブタとヒツジ
きょうの江戸小話 → カエルになれ

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12月13日の日本民話 家出人の身がわり

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月13日の日本民話

家出人の身がわり

家出人の身がわり
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸(えど→東京都)の神田(かんだ)の鍋町(なべちょう)に、一軒のこまもの屋(→雑貨屋)があって、十四、五才になる調市(ちょういち)という小僧(こぞう)がはたらいていました。
 ある年の十二月十三日の夕方、仕事のすんだ調市が、
だんなさま、おふろにいかせてもらいます」
と、店の主人に言って、手ぬぐいとおけを持って近くの銭湯(せんとう)へ出かけていきました。
 ところがしばらくたって、主人がなに気なく店のうら口をのぞくと、だれか若い者が中をのぞくようにしてたっています。
「そこにいるのはだれだい? 用があるなら中へお入り」
 主人が声をかけると、若い者はなれた足どりで店の中へ入ってきました。
 見ると、いまさっき銭湯へ出かけたばかりの調市です。
 しかし、そのかっこうは旅姿で、わらつつみとつえを持っています。
 顔もうすよごれていて、どうみても旅からもどってきたばかりという感じです。
(たしかさっき、手ぬぐいとおけだけで出かけたはずだが)
 主人は首をかしげましたが、その事にはふれず、
「さあ、わらじをぬいで、足を洗うがよい」
と、調市をあたたかくむかえてあげました。
「ありがとうございます。本当に長いあいだ勝手をしてすみませんでした」
 調市は井戸ばたにいって手足をあらうと、わらつつみにしてあった、じねんじょ(→ヤマイモ)をおぼんにのせて、主人の前にもどってきました。
「これは、おみやげでございます」
「・・・? そうかい。めずらしいものをありがとう」
 にこやかにうけとったものの、主人はますます不思議に思い、
(まさか、キツネが化けているのでは?)
と、調市をつくづくながめました。
 でも、どこから見ても調市にかわりがありません。
 主人はなにくわぬ顔で、たずねました。
「ところで、今までどこにいたのかね?」
「はい、秩父(ちちぶ)の山にずっといて、けさ早く出て来ました。だまって店をぬけだすなんて、本当に申し訳ありませんでした。これからは心を入れかえて働きますから、どうかゆるしてください」
「??? ・・・そうかい。まあ、すんだことはしかたがないな。・・・で、いつ店を出たのだ?」
「?」
 主人の言葉に、今度は調市が首をかしげました。
 店の人間がだまって家出したのを、知らないわけがないからです。
 それも、一番いそがしい年のくれです。
「はい、だんなさまもこぞんじのように、去年(きょねん)の十二月十三日、ちょうど、すすはらいをした日の夜です」
「なるほど。それで秩父では、何をしていた?」
「はい、大きな宿屋(やどや)で働いていました。なにしろお客さまが多くて、目の回るいそがしさでした。でもどういうわけか、お客さんは出家(しゅっけ→今までの生活をすてて、坊さんになること)された人ばかりでした。でもそこで、わたしもいろいろとめずらしいものをごちそうになりました。出家された人たちですから、生ものは出しませんが、おいしい山菜がどっさりと。そうそう、このじねんじょもすって食べると、とてもおいしいですよ」
 作り話しのようにも思いましたが、調市がうそをつくような人間でないことは、主人もよくわかっていました。
「しかし、なんだってそんなところへいったのだ?」
「はい、それが、わたしにもよくわからないのです。けっして、このお店で働くのがいやになったというわけではありません」
 調市の話しによると、すすはらいがすんで銭湯に出かけていったら、その途中、急に風がふいてきて飛ばされそうになったといいます。
 あわてて近くの木にしがみついたのですが、そのまま空へ飛ばされて、ハッと気がついたら山の中にいて、だれかが調市をのぞきこんでいるのです。
 それが宿屋の主人で、調市の話しをきくと、
「ここは秩父の山の中だ。しばらくわしの宿にいて、来年になれば店にもどればいい」
と、調市を自分の宿屋につれていってくれたのです。
 とてもしんせつな主人でしたので、調市も逃げだすわけにもいかず、店の仕事を手伝っていたのです。
「ところが、きのうの事です。宿屋の主人がわたしをよんで、『あす、江戸にかえしてあげるから、おみやげにじねんじょを持っていくといい』と、わざわざ自分でほって、わらつつみにしてくれました。そのほかの事は、さっぱりわかりません」
 調市はそこまでいうと、なつかしそうに店の中を見回しました。
(なるほど、不思議な話しだ。・・・でも、それならばさっき銭湯にでかけた調市は、いったい何者だろう?)
 主人はまた、首をかしげました。
と、いうのは、去年のくれ、調市が何者かの手で秩父の山へつれていかれたというのに、こまもの屋の店では、一日もかかさず調市が働いていたからです。
 調市の話しが本当だとするなら、だれかが調市になりすまして、この店で働いていたことになります。
(銭湯にいった調市が、もうそろそろもどってくるころだ)
 主人は銭湯にいった調市を待っていましたが、どうしたことか、銭湯にいった調市は二度ともどってはきませんでした。
(こんな事をするのは、テングのしわざにちがいない。調市を秩父の山にはこび、じぶんが調市になりすましていたのだろう)
と、主人は考えました。
 その後、調市はいつものとおり、こまもの屋でせっせと働いたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 双子の日
きょうの誕生花 → はぼたん
きょうの誕生日 → 1967年 織田裕二 (俳優)

きょうの新作昔話 → 鬼笛
きょうの日本昔話 → ウナギつりのおじいさん
きょうの世界昔話 → 6人の男が世界をあるきまわる
きょうの日本民話 → 家出人の身がわり
きょうのイソップ童話 → オオカミとヒツジの群れとオスヒツジ
きょうの江戸小話 → 初めてのこたつ

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12月12日の日本民話 はだかにされたエンマ大王

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月12日の日本民話

はだかにされたエンマ大王

はだかにされたエンマ大王
石川県の民話石川県情報

 むかしむかし、能登(のと→石川県)には、さんえもんという、とんちのきく人がいて、みんなからは「さんにょも」とよばれていました。
 そのさんにょもも、とうとう死んでしまい、あの世へ行くことになりました。
 今までずいぶんと人をだましたりしているので、エンマ大王の前に行けば必ず、
「お前は、地獄(じごく)行きじゃ!」
と、いわれるにきまっています。
「うーむ。地獄へ行かずにすむには、どうしたらよかろうか?」
 さんにょもは、ある考えを思いつきました。
「そうじゃ、いいことがあるぞ」
 そして、どこかで酒を手に入れたさんにょもは、エンマ大王に酒だるをさしだすと、
「エンマ大王さま。わしをさばく前に、酒など一ぱい、いかがでしょう」
と、すすめたのです。
 お酒の大好きなエンマ大王は、ゴクリとのどをならすと、
「うむ。そうか、仕事中だが、それほど言うのなら、一杯ぐらいよかろう」
と、酒を湯のみについで、グイッと飲みました。
「おお、これはよい酒だな」
 この酒が、たいへんおいしかったので、
「あと一杯」
「もう一杯」
「さいごに一杯」
「おまけに一杯」
と、とうとう酒だるを空にしてしまいました。
 さて、酒のまわってきたエンマ大王は、
「ああ、少しやすませてくれ」
と、いって、そのままグウグウと寝てしまいました。
 さんにょもはエンマ大王の着物を脱がしてかんむりをはずすと、さっそくそれを自分の身につけて、はだかのエンマ大王を地獄にほうりこみ、自分はエンマ大王のイスにすわりました。
 エンマ大王になったさんにょもは、たいへんやさしく、生きていたときに悪い事をした人間ががやってきても、少しでもいいところがあると極楽(ごくらく)行きのハンコをおしてやりましたから、だれからもよろこばれたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 漢字の日
きょうの誕生花 → あおき
きょうの誕生日 → 1960年 西村雅彦 (俳優)

きょうの新作昔話 → 五分次郎
きょうの日本昔話 → お花地蔵
きょうの世界昔話 → ウシを手に入れるまで
きょうの日本民話 → はだかにされたエンマ大王
きょうのイソップ童話 → 野生のロバとかわれているロバ
きょうの江戸小話 → よっぱらい

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12月11日の日本民話 カッパの贈りもの

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月11日の日本民話

カッパの贈りもの

カッパの贈りもの
山口県の民話山口県情報

 むかしむかし、カッパが海や川にたくさん住んでいて、いろいろイタズラをしていたころのお話しです。
 ある日、一頭のウマが川辺で草を食べていると、川の中からカッパが現れました。
 ウマが好きなカッパは、たずなを自分の体に結びつけてウマを川にひきずり込もうとしました。
 ビックリしたウマは、とある百姓(ひゃくしょう)の家にとび込みました。
 ウマが急に飛び込んできたので、おどろいた家の人がよく見ると、たずなの先にカッパがぶらさがって、
「ふうふう」
と、言っています。
「ははん。また悪さをしようとしたな」
 お百姓がなぐりつけようとすると、カッパは手を合わせて命ごいをしました。
「どうか助けてください。もう二度と悪さはしませんから。お願いです」
 あわれに思ったお百姓は、なぐりつけるのをやめると、こらしめのために縁側(えんがわ)の柱にしばりつけておきました。
 タ方になって、その家の娘がカッパがいるのを知らずに、ウマに水をやろうとして通りかかり、カッパを見ておどろいて、おけの水をカッパにうちかけてしまいました。
 水はカッパの元気のみなもとです。
 頭のお皿に水がたまったカッパは、たちまち元気を取りもどして、つなを切って逃げてしまいました。
 さて、しばらくしてその娘がお嫁に行くことになりました。
 その仕度(したく)にいそがしいある日、ふと見ると縁側に誰からともわからないタルに入ったお酒がおいてありました。
 次の晩には、大きくて立派なタイが三匹おいてありました。
 次の晩、不思議に思った家の人が物かげで見張っていますと、この間のカッパが水神さまのお札(ふだ)を持ってやってきました。
 カッパが助かったお礼に、娘の嫁入の祝いを持ってきていたのです。
 この事が村中で大評判になり、大勢の人がカッパがやってくるのをのぞき見するようになったので、カッパは二度と現れなくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 百円玉の日
きょうの誕生花 → ストレリチア
きょうの誕生日 → 1948年 谷村新司 (ミュージシャン)

きょうの新作昔話 → かますキツネ
きょうの日本昔話 → ウサギと太郎
きょうの世界昔話 → カンチール 森のかしら
きょうの日本民話 → カッパの贈りもの
きょうのイソップ童話 → 月の女神と母親
きょうの江戸小話 → ころぶ

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12月10日の日本民話 雪のなかの女ゆうれい

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月10日の日本民話

雪のなかの女ゆうれい

雪のなかの女ゆうれい
新潟県の民話新潟県情報

 むかしむかし、雪のふかい魚沼(うおぬま)の里に、源教(げんきょう)という坊さんがいました。
 ある冬、熱心に寒行(かんぎょう→寒さをしのんでする修行)をつとめて、その行も最後の夜となり、魚野川(うおのがわ)にかかる橋のたもとへでかけました。
 このあたりでは橋の上にも大雪がつもるため、わたるときに足をすべらせて、川へおちる人が少なくなかったのです。
 坊さんが鐘(かね)をたたきながら念仏をとなえていると、にわかに月の光がくらくなりました。
 そして川の中から、フワフワと青い火がもえあがってきたのです。
(これはきっと、水死した人たちのたましいの火だ)
 坊さんは目をとじて念仏の声をあげ、しばらくしてから目をあけました。
 すると橋の上に、年のころは三十くらいの女が立っていました。
 青ざめた白っぽい顔で、髪の毛がぐっしょりとぬれています。
 まるでたったいま、水からあがってきたかのようです。
 それによく見ますと、からだが半分すきとおっていて、足元は完全に見えません。
(これこそ、ゆうれい)
 坊さんがなおも念仏をとなえますと、女はスーッと近づいてきて、よわよわしい声でいいました。
「わたしは、山むこうの里のキクともうすもの。夫にも子どもにも死なれ、くらしがたたなくなったので、このさきの親類(しんるい)をたよろうと、ここまで来たのですが、橋をわたるときに足がすべって川へ落ちて水死したのです。今夜が四十九日になりますが、だれ一人、わたしに気づいてくれませんでした。そんな時、お坊さまが念仏をとなえてくれて、どれほどありがたかったことか。ああ、これで極楽(ごくらく→天国)へいけると。・・・だけど、わたしのこの黒髪がじゃまになって、極楽へまいることができません。お坊さま、どうかわたしの毛をそってください」
 いいおわると、女はさめざめと泣くのでした。
 そこで、坊さんが、
「そのくらいはたやすいこと。すぐにも黒髪をそってしんぜたいが、今は、かみそり一つ持っていない。あすの夜、わしが住む関山(せきやま)のいおり(そまつで小さな家)へ、おいでなされ」
と、言うと、女はけむりのように消えて、また月が明るくなりました。
 次の日、坊さんはふと考えました。
(ゆうれいの女は、きっとやってくるだろう。わしが黒髪をそっても、だれかが証人(しょうにん)として見ていてくれなければ、だれも信じてはくれまい。この村の七兵衛(しちべえ)は一緒に念仏をとなえる男だから、あれにたのむとしよう)
 坊さんはさっそく七兵衛を呼んで戸だなにもぐりこませると、すき間から部屋のようすが見えるようにしました。
 さてその夜、坊さんがいろり(→部屋のゆかを四角く切り、たきぎなどをたくようにした所)にあたりながらジッと待っていると、いつ入ってきたのか、キクという女が仏壇(ぶつだん)にむかってすわっていました。
 さすがの坊さんも、ビックリしましたが、
「キクどの、よくおいでなさった」
と、声をかけました。
 しかし女は頭をたれているだけで、今夜は何も言いません。
 坊さんがかみそりを手にとると、ぬれた女の黒髪を切り落としました。
(この髪をとっておいて、そったあかしとしよう)
 坊さんが切り落とした髪の毛を自分のふところへしまおうとすると、不思議なことに、髪の毛は糸でひっぱられるように女のふところへ入ってしまうのです。
 坊さんがいくら髪の毛をしっかりにぎりしめても、髪の毛はスルリスルリと女のふところへ入るため、全ての髪の毛をそりおえた時には、坊さんの手にほんのかぞえるほどの髪がのこっているだけでした。
(ありがとうございました。では、これで)
 女は小さな声で礼を言うと、スーッときえてしまいました。
「ああ、なんとおそろしいものを見たことか」
 戸だなから出てきた七兵衛は、ブルブルとふるえていました。
 そして七兵衛は出家(しゅっけ→家を出て仏門に入ること)をして、坊さんになりました。
 源教(げんきょう)の手にのこったゆうれいの髪は、関山(せきやま)に塚(つか)をたてておさめ、毛塚(けづか)とよんで今ものこっているという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 世界人権デー
きょうの誕生花 → コニファー(ドワーフ・コニファー)
きょうの誕生日 → 1965年 石田靖 (タレント)

きょうの新作昔話 → 若者になったおじいさん
きょうの日本昔話 → 彦一とえんまさま
きょうの世界昔話 → ゾウのめかた
きょうの日本民話 → 雪のなかの女ゆうれい
きょうのイソップ童話 → ネコとネズミ
きょうの江戸小話 → 三つのあて

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12月9日の日本民話 山ネコのきらいなご幣

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月9日の日本民話

山ネコのきらいなご幣

山ネコのきらいなご幣
広島県の民話広島県情報

 むかしむかし、安芸の国(あきのくに→広島県)に、ヤマイモ掘りの名人といわれるおじいさんがいました。
 ヤマイモというのは土深くのびていて、上手に掘らないと、すぐに折れてしまうのです。
 だけど、このおじいさんの手にかかれば、どんなに長いヤマイモも根元まできちんとそろっていて、味も良いのです。
 おじいさんはヤマイモを求めて、毎日、あちらこちらの山を歩いていました。
 ある日の事、おじいさんはネコ山と呼ばれている山へ出かけました。
 なんでもこの山には恐ろしい山ネコがいて、人をおそうというのです。
 だから山へ近づく者はなく、それだけに、手つかずのヤマイモがたくさんあるはずです。
「山ネコがこわくて、山へ行けるか」
 気の強いおじいさんは、ネコ山に出かけてヤマイモを掘り始めました。
 思ったとおり、見事なヤマイモがいくらでもあります。
 でも、夢中で掘りつづけているうちに、いつのまにか夜になってしまいました。
「しかたがない。今夜はここで野宿するか」
 おじいさんは木の下に腰をおろすと、お弁当のにぎり飯にかぶりつきました。
 夜中になると、山の中はいよいよ静まりかえり、なに一つ聞こえてきません。
 さすがのおじいさんも気味悪くなり、草の上へ横になっても、なかなか寝つくことができませんでした。
 それでも、ようやくウトウトしはじめた時、突然なまぐさい風がふいてきて、おじいさんはハッと目を覚ましました。
 ふと見ると、黒くて大きなものが、おじいさんの上へおおいかぶさるようにして立っているのです。
 ビックリしてとび起きようとしましたが、おじいさんは金縛り(かなしばり)にあってしまい、ピクリとも動くことが出来ません。
 よく見てみると、そこに立っているのは毛むくじゃらのけものらしく、金色の二つの目がギラギラと光っています。
(はっ、こいつは山ネコだ!)
と、気がついたものの、いまさらどうすることも出来ません。
(仕方ない。なるようになれ)
 おじいさんは覚悟を決めて、目を閉じました。
 生ぐさい息が顔にかかったかと思うと、山ネコはヤスリのようにザラザラとした舌で、おじいさんのからだをなめはじめました。
 ところが山ネコは、おじいさんのからだをなめまわすばかりで、いっこうに食いつこうとはしません。
 しばらくすると、山ネコはくやしそうに言いました。
「だれかが、じゃまをしやがったな」
(・・・?)
 おじいさんは、何の事かわかりません。
「くそっ、どうしても食う事ができない!」
 山ネコはあきらめたらしく、そのままたちさっていきました。
「助かった」
 金縛りのとけたおじいさんは、ホッとして起きあがりました。
 気がつくと体中に、ご幣(ごへい→紙を細く切ったもので、神社に祭ってある)の紙がまきついていました。
「こりゃ、どっかの神さまが助けてくださったにちがいない」
 おじいさんは夜が明けると、ヤマイモと一緒にご幣を持って山をおりました。
 家にもどると、さっそくあちこちの神社をたずね歩いてご幣を見せました。
 だが、どこの神社も、
「これは、うちのものでない」
と、言うのです。
 おじいさんはしかたなく、村の氏神(うじがみ→住む土地の守り神)さまになっている神社へ行きました。
「これはわたしの命を助けてくれた神さまのこ幣です。ここであずかってほしい」
「ああ、いいですよ。うん? ・・・あれ、これはうちのご幣だ」
 神主がおどろいて神社の中を調べてみると、やっぱりご幣がなくなっています。
「なんと、氏神さまのご幣だったのか」
 おじいさんは喜んで、氏神さまにご幣を返しました。
 この神社は山ネコを追い払ったご幣の氏神さまということで、すっかり有名になり、山仕事へ行く人はみんな、この神社へお参りするようになったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 漱石忌
きょうの誕生花 → げっけいじゅ
きょうの誕生日 → 1979年 上村愛子 (モーグル)

きょうの新作昔話 → 来年の事を言うと鬼が笑う
きょうの日本昔話 → タヌキの手習い
きょうの世界昔話 → トラの前をあるいたキツネ
きょうの日本民話 → 山ネコのきらいなご幣
きょうのイソップ童話 → メスのライオンとキツネ
きょうの江戸小話 → おやじをやいたせがれ

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12月8日の日本民話 箱根山のあまのじゃく

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月8日の日本民話

箱根山のあまのじゃく

箱根山のあまのじゃく
神奈川県の民話神奈川県情報

 むかしむかし、箱根(はこね)の山に、うっかり天から落っこちてきた、あまのじゃくという者が住んでいました。
 あまのじゃくはたいへんな力持ちでしたが、不思議な事に、力が出るのは日がくれてからの夜だけでした。
 ある晴れた日、あまのじゃくは箱根の山のてっぺんに立って、まわりをグルリと見わたしていました。
「おう、今日はとおくの山までよく見えるのう。だが、わしの箱根山が一番いい山じゃ」
 あまのじゃくはご機嫌でしたが、ふと西の方をながめると、さっと顔色が変わりました。
 箱根山の西の雲の間からは、日本一の富士山が、その美しい姿をのぞかせていたのです。
「ううむ、富士はやはりきれいな山じゃのう。背たけも高くて、人々が朝に夕に手を合わせる気持ちもわかるわい」
 あまのじゃくは、ウットリと富士山をながめていましたが、やがてくやしそうに言いました。
「だめだ、だめだ! 富士がいるおかげで、わしの箱根山の美しさがかすんでしまう。人間どもは箱根に尻(しり)を向けて富士ばかり見ておる。なんとかしなくては・・・」
 あまのじゃくはしばらくうでを組んで考えていましたが、やがていいことを思いつきました。
 それはなんと、富士山のてっぺんの岩を海へ投げすててしまい、その背たけを低くしてやろうというのです。
 その夜、人々がねしずまってから、あまのじゃくはもっこ(→つちを運ぶ道具)をかついで、エッチラオッチラと富士山にのぼりました。
 そして、てっぺんの岩をつかむともっこに入れて、富士山を下り、海岸から海にめがけてなげこみました。
 あまのじゃくは、それからも毎晩富士山に出かけては、てっぺんの岩を海になげこみました。
 あまのじゃくがあんまりたくさんの岩をなげこんだので、海にはいくつもの島ができました。
 それが、「大島(おおしま)」「利島(としま)」「新島(にいじま)」「式根島(しきねじま)」「神津島(こうづしま)」「三宅島(みやけじま)」「御蔵島(みくらじま)の伊豆七島(いずしちとう)」なのです。
 そして、なげそこなって近くに落ちたのが、「初島(はつしま)」になったということです。
 しかし、これだけの岩をとられても、富士山の背たけは、まだまた日本一です。
「くそ! 今夜は、思いっきりたくさんの岩を運んでやる!」
 あまのじゃくは、その晩も富士山に出かけて行きました。
 この夜は、いつもよりも大きな岩をはがしたので、時間がかかってしまいました。
 そして富士山を下りて箱根あたりを通りかかったところで、一番鳥が、
「コケコッコー!」
と、鳴きました。
「しまった。夜が明けてしまっては、わしの力がなくなってしまう」
 あまのじゃくは、もっこの中の岩をぶちまけると、急いで箱根の山に逃げ帰りました。
 その日、おてんとうさまが高く上ると、箱根の山の下に、おわんをふせたような形の山が二つできていました。
 これが、あまのじゃくが逃げたときにぶんなげた岩で、今も「二子山(ふたごやま)」とよばれている山なのです。
 さて、あまのじゃくですが、これにこりたのか、もう二度と富士山には行かなかったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 歯ブラシの交換日
きょうの誕生花 → かんつばき
きょうの誕生日 → 1973年 稲垣吾郎 (歌手)

きょうの新作昔話 → 弓の名人と二羽のツル
きょうの日本昔話 → ヘビ女房
きょうの世界昔話 → ムギの穂
きょうの日本民話 → 箱根山のあまのじゃく
きょうのイソップ童話 → 川と皮
きょうの江戸小話 → 医者の一番客

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12月7日の日本民話 踊るネコ

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月7日の日本民話

踊るネコの話

踊るネコ
島根県の民話島根県情報

 むかしむかし、隠岐島(おきのしま)のある村で、盆踊り(ぼんおどり)がおこなわれました。
 となり村の若者たちが五、六人やってきて、夜中までたのしく踊って帰っていきました。
 その若者たちが村ざかいの峠(とうげ)の道にさしかかったとき、どこからともなく、盆踊りのにぎやかな歌声がきこえてきました。
「おい。こんな山の中で盆踊りをやっとるぞ。どこでやっとるんだ?」
 若者たちは不思議に思いながら、歌声がきこえるほうへ近づいていきました。
 すると林の中の草地で月の光をあびながら、ネコが七、八匹集まって、手ぬぐいでほおかぶりをして踊りを踊っていました。
 若者たちは杉の木のかげにかくれて、ジッと様子を見ていました。
 やがて、一匹のネコが、
「トラどん、まだか? トラどん、まだか?」
と、いってはやしだすと、ほかのネコたちもすぐにつづけて、
「トラどん、まだか? トラどん、まだか?」
と、手ぶりも上手に、はやしたてるのです。
 トラとよばれているネコは、峠をおりた自分たちの村の入口にある、お百姓(ひゃくしょう)の家のネコの事です。
 もう十四、五年も生きている大きなトラネコで、若者たちもよく知っているネコでした。
 踊っているネコたちは、おなかに手をあてたりしながら、
「トラどん、まだか? トラどん、まだか?」
と、はやしたてていました。
「これは、人間が見てはならん事になっておるネコの踊りじゃ。なんだか、気持ちがわるくなってきた」
「たたられたら大変じゃ。はやく帰ろう」
 若者たちは小さな声でいいあうと、その場からはなれようとしましたが、けれども村へ帰るには、ネコたちが踊っている方向へ行かなくてはなりません。
 すると、その気配(けはい)に気づいたのか、
「人間に見られた。人間に見られた」
と、ネコたちは次々と、むこうのやぶの中へ逃げていったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → クリスマスツリーの日
きょうの誕生花 → シクラメン
きょうの誕生日 → 1954年 古舘伊知郎 (タレント)

きょうの新作昔話 → お坊さんにだまされたキツネ
きょうの日本昔話 → 大きな運と小さな運
きょうの世界昔話 → マルーシカと十二の月
きょうの日本民話 → 踊るネコ
きょうのイソップ童話 → 旅人とプラタナス
きょうの江戸小話 → かべのあな

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12月6日の日本民話 おふろはこわい

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12月6日の日本民話

おふろはこわい

おふろはこわい
千葉県の民話千葉県情報

 むかしむかし、あるところに、まだ一度もおふろを見たことのない人たちの村がありました。
 ある時、この村のお百姓(ひゃくしょう)さんがよその村へ行ってお風呂(ふろ)を見ました。
「なるほど、これはいい物だな」
 家にもどってくると、さっそく自分で風呂おけを作って、その中にお湯を入れました。
 うわさを聞いて、近所の人たちが集まってきます。
「なんてでっかいたるだ、まるでかんおけみたいじゃないか」
「なんと、あの中に入って体をあらうんだと。お湯がよごれてしまっては、あとで使うこともできまい」
 みんなは首をかしげながら、風呂おけをとりかこみました。
 そこへ、畑に行っていたこの家のおばあさんがもどってきました。
「さあ、おばあさん、お風呂に入ってください。これは体をあらうのに、とてもべんりなものだそうですよ」
「とんでもない! こんな大きなおけに入ったら、出られなくなってしまう」
「大丈夫。ここにちゃんとふみ台があるから」
 お百姓さんに言われて、おばあさんはしぶしぶ着物をぬいでふみ台にのぼりました。
 でも足がよごれているので、このまま入ればお湯がよごれてしまうと思い、頭からふろおけにとびこんだのです。
「た、たいへんだー!」
 みんなはあわてて、おばあさんを引っぱり上げました。
 ぐったりとのびてしまったおばあさんを見て、みんなは口々にいいました。
「ああ、お風呂はおそろしい」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 音の日
きょうの誕生花 → マルメロ
きょうの誕生日 → 1950年 久石譲 (作曲家)

きょうの新作昔話 → 人形のお嫁さん
きょうの日本昔話 → 貧乏神
きょうの世界昔話 → ヒナギク
きょうの日本民話 → おふろはこわい
きょうのイソップ童話 → イヌとオンドリとキツネ
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12月5日の日本民話 エビとタコとフグのおどり

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12月5日の日本民話

エビとタコとフグのおどり

エビとタコとフグのおどり
鳥取県の民話鳥取県情報

 むかしむかし、ある夏の暑い日に、エビとタコとフグが海から出て、浜辺のマツの木の下で休んでいました。
「海の外へ出るのも、気持ちがいいもんだな」
と、エビが言いました。
「本当に。風にふかれるのもわるくない」
と、タコが言いました。
「そうそう。体の中まで、すずしくなるみたいだ」
と、フグが言いました。
 すると、そこへカラスが飛んできて、マツの木の上から、
「とって食おう。とって食おう」
と、鳴きました。
 エビとタコとフグは、ビックリしてカラスに言いました。
「すぐに海へもどるから、かんべんしてください」
「いいや、かんべんできない。こんなところへ出てくるなんてなまいきだ。お前たちの家は、海のそこじゃないか」
「それでは、じまんのタコおどりを見せるから、食うのだけはかんベんしてください」
と、タコが言いました。
「わたしも、エビおどりをして見せます」
と、エビがあわてて言いました。
「なるほど、そいつはおもしろい。それなら、一匹ずつおどってもらおう」
と、カラスが言いました。
 でもフグはおどる事ができないので、だまってうつむきました。
「それでは、まずわたしから」
 エビが、前に進み出ました。
♪海の上にはすてきな
♪三日月さまよ
♪ピョンとはねれば
♪なみがちる
 うたいながら、エビがはねあがりました。
 そのすがたは、まるで海の上にうかんだ三日月にそっくりです。
「いいぞ、いいぞ」
 カラスは大喜びです。
 こんどはタコが進み出て、マツの木に足を一本かけました。
♪マツには竹とウメの花
♪風にゆらゆら、さいてちる
 うたいながら、タコはのこりの足を広げておどりました。
 足のいぼいぼが動いて、まるで風にゆれるウメの花にそっくりです。
「いいぞ、いいぞ」
 カラスは、これまた大喜びです。
「では、次はフグの番だ」
 でもフグは何にもできないので、小さくなって言いました。
「わたしはごらんのとおりで、何もできません。どうかかんべんしてください」
「だめだ。何もできないのなら、お前を食うぞ」
 カラスがそう言うので、フグはしかたなく、ドテンドテンとひっくりかえりながらうたいました。
♪わたしみたいなものまでも
♪おどって見せろとは
♪あんまりな
♪フグにできるのは
♪おおきな、おおきな、ふくれっつら
 フグは、いっしょうけんめいにがんばったのですが、
「だめだ、だめだ。そんなおどりじゃ。もうかんべんできない」
 するとフグが、かくごをきめて言いました。
「しかたがありません。どうぞわたしを食べてください。でも、フグの毒にあたっても知りませんよ」
 それを聞いてカラスは、ハッと気がつきました。
 フグの体にはおそろしい毒があって、うっかり食べると死んでしまうのです。
「もういい。かんべんしてやろう。お前のおどりもなかなかおもしろかったからな」
 そして、
「もう、とって食わねえ、とって食わねえ」
と、鳴きながらとんでいきました。
「やれやれ、たすかった。二度と海からあがるのはやめよう。やっぱり海のそこが安心だ」
 エビとタコとフグは、あわてて海の中へもどっていったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → バミューダ・トライアングルの日
きょうの誕生花 → ポインセチア
きょうの誕生日 → 1969年 白石さおり (歌手)

きょうの新作昔話 → なごのわたり
きょうの日本昔話 → ひょうたん1つでカモ十羽
きょうの世界昔話 → 雪娘
きょうの日本民話 → エビとタコとフグのおどり
きょうのイソップ童話 → 鳥刺しとシャコ
きょうの江戸小話 → こたつ

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12月4日の日本民話 天へとばされた男の子

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12月4日の日本民話

天へとばされた男の子

天へとばされた男の子
秋田県の民話秋田県情報

 むかしむかし、ある家に、人のいうことを聞かない男の子がいました。
 そのうえに、男の子はたいへんなイタズラもので、いくらお父さんやお母さんがしかってもイタズラをやめません。
 ある日の事、家でおけ屋さんをよんで、ふろおけの修理(しゅうり)をしてもらうことになりました。
 ところが男の子は修理の道具をいじったり、おけをしばっている竹のたがをたたいたりと、イタズラばかりします。
「あぶないから、はなれていろ!」
 おけ屋さんがいくら言っても、男の子は聞きません。
 そのうちにおけのたががパチンとはずれて、男の子をはじき飛ばしてしまったのです。
 勢いよくはじき飛ばされた男の子は、どんどん空へのぼっていき、ついには見えなくなってしまいました。
 さあ、大変です。
 でも空へ消えてしまっては、さがしにいくわけにもいきません。
 お父さんもお母さんは、一日中空をながめては、泣いてばかりいました。
 さて、天までとばされた男の子が雲の上でシクシクと泣いていると、美しい娘さんがやってきて、
「どうしてないているの?」
と、たずねました。
 そこで男の子は、おけのたがをイタズラしていて飛ばされたことを、正直に話しました。
 すると、娘さんが言いました。
「人のいうことを聞かないでイタズラばかりするから、こんなところへ飛ばされるのです。人のいうことを聞くようになるまで、ずっとここにいますか?」
「いやだ、いやだ。家に帰りたいよう」
「それなら、これからは人のいうことを聞きますか?」
「聞くよ、聞くよ」
「よろしい。それなら、わたしが家にもどれるようにしてあげましょう」
 娘さんは雲の上の家につれていくと、男の子にごはんを食べさせて、大きなカサを広げて言いました。
「このカサにつかまって下へおりなさい。このカサは、カサのえを向けた方におりていきますから」
 男の子はさっそくカサにつかまり、下へとびおりました。
 カサは風にのって、フワリフワリとおりていきます。
 どんどんおりると、自分の家が見えてきました。
 男の子はカサのえを、家のほうに向けました。
 家の前では、みんなが手をふっています。
「あっ、父ちゃんと母ちゃんだ!」
 よく見るとおけやさんもいますし、となりのおじさんもおばさんもいます。
 みんな心配して、集まってくれていたのです。
 カサはどんどんさがっていき、男の子はみんなの前におりました。
 すぐにお父さんがかけてきて、男の子の頭をコツンとたたくと、うれしそうに男の子をだきあげました。
「よく、もどってきたな。心配させやがって」
 お母さんもかけよってきて、男の子の手をにぎりました。
「よかった、よかった」
 みんなが、口ぐちに言いました。
 その日から男の子は人のいうことをよく聞き、イタズラをしなくなったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 破傷風血清療法の日
きょうの誕生花 → さざんか
きょうの誕生日 → 1973年 田村淳 (芸人)

きょうの新作昔話 → 白い鳥
きょうの日本昔話 → クモ女
きょうの世界昔話 → 魔法使いと若者
きょうの日本民話 → 天へとばされた男の子
きょうのイソップ童話 → 美しい鳥コンテスト
きょうの江戸小話 → おいしい目ぐすり

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12月3日の日本民話 サルと槍つかい

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月3日の日本民話

サルと槍つかい

サルと槍つかい
奈良県の民話奈良県情報

 むかしむかし、柳生但馬守宗厳(やぎゅうたじまのかみむなよし)という、剣術の大先生がいました。
 宗厳(むなよし)は、生まれ故郷(こきょう)の奈良県にある柳生(やぎゅう)の里にこもって、一心に剣術の研究にはげんでいました。
 そのころ宗厳は、二匹のサルをかっていました。
 サルたちに剣術の相手をさせて、すばやい身のこなし方などを学んでいたのです。
 サルの方も、毎日のように相手をさせられているうちに、すっかり上手になり、若い弟子などではかなわないほどのの腕前(うでまえ)を身につけていたのです。
 ある日の事、長い槍(ヤリ)をかついだ浪人(ろうにん)がやってきて、宗厳の弟子になりたいと願いでました。
 自分はヤリの名手(めいしゅ)だという浪人に、宗厳は、
「それなら、まずはわしのサルどもを、その竹槍(たけやり)でついてみよ」
と、いいました。
 浪人は、あきれたような表情をして、
「サルを相手にせよとは、あまりの事ですが、柳生の大先生がいわれるなら、いたしかたない」
と、肩にかついできた槍を置くと、わきに立てかけてある竹槍を手にしました。
 庭先につれてこられたサルは、剣術の胴着(どうぎ)と面(めん)をつけてもらうと、小さな竹刀(しない)を持って浪人と立ちあいました。
「では、はじめ!」
 サルは浪人がつきだす長い竹槍を、ひょいひょいと上手にかわしました。
 そして竹槍の下をすばやくくぐると、みごとに一本、竹刀で浪人のからだをうちつけたのです。
「これは不覚(ふかく)。サルになんぞ一本とられるとは、何かの間違い。もう一つ」
 宗厳は、もう一匹のサルを立ちあわせましたが、こんども同じように浪人は負けてしまったのです。
「どうだ、もう一つやってみるか?」
「・・・いえ」
 宗厳の言葉に、浪人は、はずかしそうに帰っていきました。
 しかし浪人は、それから本気になってきびしいけいこをつみ、一月半ほどしてから、また柳生の里にやってきました。
 そしてもう一度、サルに立ちあわせてほしいと願い出たのです。
 宗厳はしばらくだまって浪人をみつめると、静かにいいました。
「そのほう、いろいろ工夫をこらしてけいこをつんできたと見える。今度はサルもかなうまい。まあいい、まずサルと見合ってみよ」
 宗厳はサルに胴着をつけさせて、浪人と見合いをさせました。
 両者はたがいの目をみつめ、にらみあっていましたが、浪人の真剣な目におそれをなしたのか、サルはきゅうにはげしい鳴き声をあげると、そのまま逃げだしてしまいました。
 それを見て宗厳は、浪人を新しい弟子の一人に加えることにしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 奇術の日
きょうの誕生花 → ネフロレピス(ツディたましだ)
きょうの誕生日 → 1972年 高岡早紀 (俳優)

きょうの新作昔話 → 夜叉(やしゃ)が池
きょうの日本昔話 → 人を水中に引きこむカッパ
きょうの世界昔話 → シラミちゃんとノミちゃん
きょうの日本民話 → サルと槍つかい
きょうのイソップ童話 → ヒバリ
きょうの江戸小話 → こまったくせ

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12月2日の日本民話 人魚が教えてくれた秘密

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月2日の日本民話

けものたちの、ないしょの話

人魚が教えてくれた秘密
沖縄県の民話沖縄県情報

 むかしむかし、とても美しい浜辺がありました。
 ある日の夜、仕事の終わった若者たちが、この浜辺でお酒を飲んでいると、海のほうから美しい歌声が聞こえてきました。
「なんてすてきな歌声だ。いったい、誰が歌っているのだろう」
 若者たちは海を見ましたが、海の上には船もありません。
 でもたしかに、歌声は海の方から聞こえてくるのです。
 若者たちはお酒を飲むのもわすれて、いつまでも聞きほれていました。
 そんなことがあってから、何日かすぎたころです。
 若者たちが魚をとっていると、なんとアミに人魚がかかったのです。
 みんなは、大喜びです。
「これはめずらしいものがとれたぞ。見せ物にしてもいいし、お金持ちに売りつけてもいい。とにかく大もうけが出来るぞ」
 すると、人魚がなみだをこぼして言いました。
「おねがいです。どうかこのまま、海へもどしてください」
「いや、そうはいかん。せっかく手に入れためずらしいものを、逃がすわけにはいかん」
 ガッカリした人魚はなみだをふくと、しずかに歌をうたいはじめました。
 なんとその声は、いつか浜辺で聞いたものと同じです。
「あの歌声は、お前が歌っていたのか」
 若者たちはおどろいたように、人魚を見つめました。
 美しい歌声はたちまち若者たちの心をとらえて、だれもがうっとりと夢を見ているような気持ちになりました。
 やがて歌い終わると、人魚が言いました。
「もし、わたしを助けてくださるのなら、海の秘密を教えてあげます」
「なに、海の秘密だと?」
 若者たちは、顔を見合わせました。
「よし、いいとも、助けてあげよう」
「ありがとうございます」
 人魚はうれしそうにニッコリ笑うと、船から海に飛び込んで言いました。
「実は、明日の朝に大津波(おおつなみ)が村をおそいます。今日のうちに、山へ逃げてください」
 それを聞いた若者たちは、あわてて村の人たちに人魚の言った事を知らせました。
 村の人たちは、すぐに身のまわりの物を持って山の上へ逃げました。
「さて、ほかの村の人たちにも知らせてやらなくちゃ」
 若者たちは手分けして、人魚から聞いた津波の事を知らせに行きましたが、どの村へ行っても、
「そんなバカな。人魚なんているはずないだろう」
と、誰も信じてはくれません。
 若者たちはしかたなく、山の上へ逃げていきました。
 そして次の日の夜明け、人魚の言ったとおりに、誰も見たことがないような大津波がおそってきて、浜辺の村はあっというまに海へ引きこまれてしまいました。
 でも若者たちの村では、人魚のおかげで、誰一人死んだ者はいなかったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 原子炉の日
きょうの誕生花 → ユーカリノキ
きょうの誕生日 → 1971年 松嶋尚美 (芸人)

きょうの新作昔話 → 円海長者(えんかいちょうじゃ)の大赤牛
きょうの日本昔話 → 山の神がくれたおよめさん
きょうの世界昔話 → けものたちの、ないしょの話
きょうの日本民話 → 人魚が教えてくれた秘密
きょうのイソップ童話 → コウモリとイバラとカモメ
きょうの江戸小話 → 富士山のいれもの

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12月1日の日本民話 死がいをとるもうりょう

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話

12月1日の日本民話

死がいをとるもうりょう

死がいをとるもうりょう
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、江戸(えど→東京都)の(さむらい)が仕事でよその国へ行くとき、一人の男を召使いとしてやといました。
 その男が実によく気のつく男で、どんな用事をいいつけても、てきぱきとかたづけてくれるのです。
 侍はこの男が気にいって、いつか正式の家来にしたいと思っていました。
 さて、旅の途中、美濃の国(みのうのくに→岐阜県)のある宿にとまったときのことです。
 ま夜中と思われるころ、その男が眠っている侍のまくらもとへやってきて、
「だんなさま、だんなさま」
と、いうのです。
「うん、どうした?」
 侍が半分眠ったまま返事をすると、男は小声でいいました。
「まことに申しわけありませんが、もう仕事ができなくなりました。旅の途中ではありますが、このままおいとましたいと思います」
「なんだと!」
 侍はあわててとび起きると、男につめよりました。
「なにか、気にいらない事でもあるのか? もしそうなら」
「いいえ、そんな事はありません。じつはわたしは人間でなく、もうりょう(→水の妖怪)と呼ばれるものです。わたしたちはなくなったばかりの人の死がいをとってくることになっていて、わたしにも順番がまわってきました。この宿から一里(いちり→約4キロメートル)ほど行ったところにある、お百姓(ひゃくしょう)さんの母親がなくなり、その死がいをとることになったのです」
 侍は驚いて男の顔を見ましたが、どう見ても人間で、妖怪とは思えません。
「もうりょうなら、だまって姿を消せばいいものを、なんだってわざわざことわるのだ?」
「はい、そうしようかとも思ったのですが、だんなさまによくしていただいたので、だまって立ち去るのもどうかと考え、事情を申しあげました。では」
 男はそのまま、なごりおしそうに部屋を出て行きました。
 翌朝、侍が起きてみると、どこへ消えたのか男の姿はありません。
(ゆうべの出来事は夢でなく、やはり本当の事であったか)
 そこで宿の人にわけを話して、一里ほど行ったところにある、村のようすを調べてもらうことにした。
 夕方、宿の人がもどってきて、
「おっしゃるとおり、村はたいへんなさわぎでした。今日、その母親の葬式(そうしき)をしたところ、野辺送り(のべおくり→死者をお墓まで送っていく事)の途中で、急に黒い雲が立ちのぼって空をおおい、気がついたら棺桶(かんおけ)の中の死がいがなくなっていたそうです」
と、いったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 映画の日
きょうの誕生花 → ドラセナ
きょうの誕生日 → 1962年 林家正蔵 (落語家)

きょうの新作昔話 → たわけものと藪医者(やぶいしゃ)
きょうの日本昔話 → 一寸法師
きょうの世界昔話 → フランダースのイヌ
きょうの日本民話 → 死がいをとるもうりょう
きょうのイソップ童話 → キツネとカラス
きょうの江戸小話 → えんまのかんがえ

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